フォーさんレポート:2009SAPオープン2Rデルポトロ戦

 

2009年2月12日(木)
圭くん対デルポトロ戦

すでに丸1日経ってしまったので新鮮味がかなり薄れますが昨日の試合の観戦記を送ります。

残念ながら結果は皆さんもご存知の通りですが、その他会場の様子などをお伝えしますね。

試合開始前の通路では月曜日の1回戦の時よりも日本人のファンの数も多くなり手作りの日の丸を持った子供連れの家族も見かけました。
試合の無かった火曜日には圭くんとファンとの交流会も開催されて参加した方のお話も聞きましたので、またそっちも追ってレポートしますね。

7時開始の夜の部ではまず国歌斉唱が行われました。
今日は女性の素晴らしいソロでしたが、時には子供が選ばれたり合唱や楽器での演奏など皆自己流で国歌をアレンジして自由に発表しています。

今日の選手の入場は圭くんからで普通は指定が無ければ先に入場した選手が近いベンチに座るのですが、月曜と同じく圭くんは主審の右側の遠い方のベンチを取りました。

今日の主審は去年のデルレイビーチ決勝の主審も務めたアメリカのスティーブ・オーリックです。団長がファンのノーム・クリスト主審の様なスター性はありませんが、素晴らしいATP専属の主審です。

まず、トスでデルポトロ(以下DP)がレシーブを選びました。彼の様なビッグサーバーでは少ないですが最近は男子の試合でもレシーブを選択することが多くあります。私の記憶ではサーブの弱かったヒンギスが徹底してレシーブ選択をしていました。でもロディックがレシーブ選択する事は絶対に無いでしょうね。個人的にはレシーブ選択大好きです。

試合前練習でも圭くんは1回戦と変わらぬ様子でドロップショットを試したりしてました。今思えば試合中に珍しく何本かドロップショットをミスっていたので、特に練習してたのかな?

第1セットの第1ゲームの圭くんのサーブ。ファーストのスピードは1回戦よりちょっと遅め。ラリーになってもDPのストロークが安定していて圭くんが押され気味。30-30の圭くんのスマッシュをDPが素晴らしい守備を見せ逆にパッシングのエースを決めます。圭くんも油断していた訳ではないでしょうが、今日のDPのフットワークの良さを見せ付けられました。ここでブレークされて会場からも「頑張れ」コールが聞こえます。

DPのファーストサーブは時速125マイル以上が殆どで、プレースメントもセンターやワイドに散りばめて、圭くんが的を絞れません。試合後の記者会見でも「試合前にグレンコーチと相手のサーブの配置予想をして試合に臨んだが相手も研究して変えて来たので、予想が殆どはずれた」との談話があったようです。

その後もDPのサーブは絶好調でリターンからラリーに持って行けない圭くんはリズムが全くつかめない様子。センターやワイドに時速130マイル以上のサービスエースを取られたり、特にDPのセカンドは大きくバウンドするキックサーブが主体で、 圭くんはブロックやスライスでリターンを試みますが当てるのがやっとで返球してもDPのチャンスポールになってしまいます。

DPのサービスゲームで全くリズムが取れない圭くんは武器のフォアにミスが目立つようになり、第5ゲームの自分のサービスで2回目のブレークを許します。試合全体を通じてラリーに持ち込んでも左右に動かされているのは圭くんで逆にDPは殆ど動かないのにラリーをコントロールして得点を重ねていた様な印象がありました。それだけDPの ベースラインからの安定度とフットワークが好調だったと言うことでしょう。

逆に圭くんはリターンを色々と工夫をして見るものの、自分の得点に結びつきません。 

表情は淡々とはしているが好調の相手に何が有効なプレーなのかを必死に考えている様子でした。

1-5の第7ゲームの圭くんのサーブの時に圭くんが足をとられて(このSAPオープンのコートはハードといってもカーペットに近いので)転んでラケットが飛んで行ったポイントがありましたが、転んだ圭くんをDPはネット際まで近寄って”Are you Ok?”って2回も本当に心配そうに聞いていました。これを見てもDPって結構いいヤツだというのがよーくわかりました。後で「ケイもいいプレーをしたけど、今日は僕の方がもっといいプレーができた」と言ってました。相手を褒める事もちゃんと忘れません。

2-5のDPのサービスゲームで初めての圭くんのBPチャンスには何かを期待しているように観客から大きな拍手が沸きましたが、大事なところでしぶとい今日のDP. サービスエースも交えてGame &1St set, Del Potro。セットブレークで圭くん得意のバスルームブレーク取りましたね。きっとたくさん水分を補給しているからでしょう。

錦織劇場開幕の期待を背負って始まった第2セットの第1ゲームでは1セット目と同様にDPのストロークが安定したままでラリーになっても圭くんは押され気味。DPは圭くんが打って来る場所に何故かいつもいて動かずしてポイントを取っています。ドロップショットを打ったもののドロップでやり返されてボレーのラリーとなりDPがボレーウイナーを決めたポイントでもDPの落ち着いたボールさばきが目立ちました。結局DPの4連続得点でブレークされてしまい厳しい第2セットの始まりです。

1-2のDPのサービスゲームのブレークチャンスには会場から「頑張れコール」と共に英語でも”Come On, Kei”のたくさんの声援が送られ、DPのエラーにも助けられて待望のブレーク!!!

ここで圭くんももちろん会場の圭くんファンも全員が「やったー!これからだ!!!」と思ったはずです。そしてこの次のゲームの大きさは圭くんが一番良く知っていたと思います。 

が、しかし、次の自分のサービスでドロップショットが決まらない、バックがネット、ここでまたまた「カモンケイ!」の声が大きくなるものの、思い余ってボールを観客席に打ち込んで(圭くんは知らなかったと思うけどそこはATPのスーパーバイザーがいつも座っているセクション!)

Code Violation(規則違反)Warning (警告)を取られました。多分圭くん自身初めてではないでしょうか、コードを取られたのは。罰金はポイントペナルティから課せられると思いますので今回は罰金は無しです。ラッキー!

やはりかなりのショックだったのでしょう、ラブゲームで落とした後は両手を膝に当てて下を向いてしばらく動きません。とにかく自分の思うとおりに行かないこんな日もあります。 

ブレークバックで勢いを取り戻したDPと集中力が切れた圭くん、精神的にも厳しかったと思います。その後もブレークを許し2-5で迎えたDPのサーブではダブルブレークチャンスがあったもののDPが大事なポイントできめてGame, Set & Match。

でも苦しみながらも最後まで戦う姿勢を捨てなかった圭くんに会場からはたくさんのあたたかい拍手が鳴り止みません。口惜しかったのでしょう、うつむいて歩いていた圭くんもようやく拍手が自分に送られていることに気づいてちょっとだけ顔をあげて手を振って応えていました。 

試合後の発言。

「やはりリターンが返せなくてラリーに持って行けず自分の武器のスピードやフォアが使えなかった。デルポトロはサーブが良くてとにかく力負けした。打っても返ってくるし動きも良かったのでウイナーが打てなかった。」

「自分のサーブも良くなかったので有利な展開に持って行けず自分のストロークにも影響した。相手をもっと揺さぶりたかったがラリーにもって行けなくて相手のペースでの展開になった。」

来週のメンフィスでは1回戦であのバグちゃんと対戦しますね。初対戦を大いに楽しんで欲しいと思います!

 

15 件のコメント

  • オーリックさんは日本のTVではウーリッヒさんとアナウンスされているので知っている人もいらっしゃると思います。

    フォーさんレポートありがとうございました!

      引用  返信

  • フォーさん、レポートありがとうございます♪
    腕(ひじ?)の調子も心配でしたが、レポートを読んでその心配はあまりしなくてもよさそうな印象を持ちました。

    >とにかく自分の思うとおりに行かないこんな日もあります。

    そうですよね。気持ちを切り替えて次のメンフィスで暴れてほしいです。

      引用  返信

  • フォーさん、細かなレポートをありがとうございました。

    >会場からはたくさんのあたたかい拍手が鳴り止みません。
    (思わずこちらまで感極まりそうになりました)

    この日の結果は残念でしたが、ファンの方々の温かな声援は大きな大きな励みとなったことでしょう!

    もうすぐにメンフィスでの試合が始まりますが、また心機一転、元気な錦織選手の姿が見れるのを楽しみにしています!

    p.s. 交流会のレポートも楽しみです♪

      引用  返信

  • フォーさんリポートありがとうございます。
    今回は試合の時間帯があれでほとんど映像は
    見れなかったのでありがたいです。
    メンフィスは気を取り直してがんばってほしい。

      引用  返信

  • 圭くん、攻めが早すぎるんじゃないかな~。
    調子悪いときはなおさら。
    もっとしこったら勝機もみつかってくるんじゃないかな~なんて
    思ってしまいます。
    素人かんがえですが・・・

      引用  返信

  • フォーさんレポートありがとうございます。
    圭君ファン増えてるようで嬉しいかぎりです。
    ファン交流会のレポートも楽しみにしてます。
    次はバグちゃんかー やっぱり戦う相手も強豪ばかりですねぇ。
    見たい試合がてんこ盛りだ。

      引用  返信

  •  映像が見れていないので、はっきりしたことは言えないけど、
    テニスには、やっぱり相手があるので(当たり前ですが^^!)
    同じことをやっても、通用しないときもあるのでは?

     圭がダメだったのではなくて、でるぽのサーブ力とストローク力(あれで結構きめ細かいテクニックあり!パスとかもかなりうまい)がまさったと言う事だと思います。

     でるぽも全豪では、フェデにちんちんにされて、「やる気あんのか!」と酷評されてましたもんね。実はあの試合、密かに楽しみにしていたのです。でるぽがどこまでやれるのかなあ?なんて…だから正直とってもビックリしたし、本当に肩すかしを食らってしまいましたもん。

     もちろん、負けた圭が誰よりも悔しい思いをしているに違いありません。今回は作戦が通用しなかったと言う事なのでしょう。次までにはきっと練り直して、また私たちを驚かせてくれるでしょう!

     圭の成長をみんなで見届けていこうではありませんか!!!!!

     バグちゃんとの頭脳戦は乞ご期待!!ですよきっと^^)

      引用  返信

  •  あっと、言い忘れました!

     フォーさん、心温まる素敵なレポートありがとうございました!!!!!思わずうるうるきてしまいました♡

     続報(ファン交流会)も楽しみにしています!!!!

      引用  返信

  • フォーさん、リアルなレポートをありがとうございます。
    やはり、あの試合の山場は転機の訪れた第2セット第4ゲームだったのだと思います。
    残念ながら今回はそのチャンスを活かせなかったのですが、圭君とスタッフには是非ともそれに対する原因と対策を練って練習して欲しいと思います。
    それにしても、外国人からも声援が聞けたというのは嬉しい限りです。やはり、圭君のテニスの魅力に国境はないのですね。

      引用  返信

  • フォーさん、いつもありがとうございます。

    今年は相手も研究してくるし、難しくなってくるという予想を享受(←種さんより)され、勝手に毎試合、本戦で一勝できれば御の字と心構えはしていたんですが、やっぱり敗戦は応えます…。
    でも、団長さんの記事やフォーさんのレポート読んで、沈んでた気分も一新しました!
    試行錯誤しながらプレーしていたという経験を、次のデルポ戦の時には、きっと活かしてくれるでしょう!!

    さぁメンフィスも、また影ながら(多分見れない)応援するぞっ!

      引用  返信

  • フォーさん、ありがとうございました!バグダディス戦が楽しみです。観れますように。

      引用  返信

  • 皆さん、コメントありがとうございました。いつものように長々になっちゃってお付き合いして下さって感謝してます!

    ちょっと落ち着いたら交流会のレポートも団長宛に送りますね。

    ご存知のようにデルポトロもフィッシュにストレートで負けたのですが、フィッシュは私が今まで見た中でほぼベストの試合をしました。

    デルポトロの調子が特に悪かった訳ではなく、フィッシュが水を得た魚の如く(!)サーブもラリーもネットプレーもブレークチャンスも見事にデルポトロの1段上を行く出来でした。このATPのレベルではその日その日の調子次第で何でもありというのが現実です。だからテニスは面白い!ということですね。

    今週のフィッシュのキーワードは「カミカゼスタイル」と本人が言っています。日本人としてはちょっと気になる言葉ですが、「あたって砕けろ」という感じでしょうか?ベテランなのに挑戦者の気持ちを持ち続けるという所に今週のフィッシュの成功の秘密があると思いました。

      引用  返信

  • フォーさんありがとうございます。

    フィッシュのカミカゼスタイルはですか。決勝ではおしくも敗れてしまったけれど、調子がよかったんでね。

    圭君の試合は明日以降ですね。バクチャンとの試合、本当に楽しみです。
    がんばれ!!!!

      引用  返信

  • フォーさんリポート、
    本当にありがたいです。
    試合経過とともに圭くんのプレーだけでなく
    メンタルも手に取るようにわかり、
    どうして負けたのか、が私たちにも納得が出来ます。

    デルポくんは、フェデラーには戦意喪失だったのに
    圭くんのことは意識して絶対に勝ちたい気持ちで
    挑んでくるみたい。
    同年代ライバルとして意識しているんですね。
    あの試合中のにらみを利かせた顔が
    圭くんがころんだとき、オフコートのデルポくんに戻り
    何度も「大丈夫?」と聞いていた部分、
    AIG OPEN決勝戦エピソード(松岡氏談)を
    思い出させます。
    本当にイイ奴なんですね~。

    でも、次回はデルポを研究し、ベストコンディションで
    うちのめしちゃってください!!

    デルポも絶好調じゃなかっただけに
    圭くんの不調も残念でしたが、
    またまたいろいろ負けて学ぶことも多かったでしょう。
    (ペナルティの件も。)

    少しずつ圭くんのテニスが進化しますように。
    体調には気を配り遠征続けてください。
    いつも応援しています。

      引用  返信

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。