錦織戦後のリュビチッチ(1/2):3Rレポートbyフォーさん

インディアンウェルス2009、1回戦で錦織圭をストレートで破ったリュビチッチはそのまま勢いに乗って準々決勝まで進出しました。

準々決勝でもマレーにストレートで敗れはしましたが5-7,6-7の競ったスコア。内容も素晴らしいものがありました。
私も錦織に勝った選手ということで注目して見ていましたが、フォーさんが実際に観戦された3回戦(&ちょっとだけ4回戦)の模様をレポートしてくださいましたので、リュビチッチがどんなプレーをしていたのかご紹介したいと思います。
(豪華おまけとしてガスケvsベルダスコのレポート付き!フォーさん本当にありがとうございます。)

次回は私がGAORAで見た準々決勝、マレー戦の模様を簡単にですがお伝えします。

2009 IW 3月16日(月)男子3回戦 スタジアム2

リュビチッチ 対 シモン (8番シード)

前の試合(ガスケvsベルダスコ)とは打って変わって、この二人の対戦には超満員だったスタンドが何とガラガラになってしまいました。

強力サーブのリューに対してシモンがどう立ち向かっていくのか興味ある対戦だったし、また圭くんが対戦した相手がその後どこまで勝ち上がっていくのかにも大いに関心がありました。

2回戦はアンチッチの棄権で不戦勝のリューは1回戦以上に自分のサービスゲームをさくさくキープ。あの動きの良いシモンもリターンからの攻撃ができません。

1セット目2-2のリューのサーブでは、

137MPH(注1)でセンターへ
132MPHでワイドへ
132MPHでセンターへ

3連続でノータッチエースを取り、シモンも両手を広げ肩をすくめてのお手上げ状態。

逆に2-3のシモンのサーブではリューがダブルブレークチャンスを握りプレッシャーをかけますが、シモンも何とかキープ。しかしすでに表情やジェスチャーからもわかるとおり、サーブだけではなくストロークも安定しているリューに対してラリーでも押されているシモン。

そして3-4のシモンのサーブ。センターサービスエースで幸先の良いスタートを切ったかに見えたシモンがエラーとDF(注2)で15-40の大ピンチ。

ラリーの後、シモンのBH(注3)がネットしてリューがブレーク。この瞬間怒ったシモンはラケットをコートにたたきつけました。
このラリーでもBHを攻めるシモンに対してスライスの深いショットを返すリューの粘り勝ちでした。

リューはBHを攻撃されてもスライスとトップスピンをバランスよく使い分けてとにかくミスを簡単にしません。結局6-3でファーストセットはリュー。

ラリーに持ち込みたいシモンですが、あの粘り強いシモンがラリーでも先にミスをするケースが多く、リューのファーストサーブもエースでなくても厳しいコースをつくのでブレークチャンスも全く無し。

リューはラリー戦になるとBHの堅い守りからFH(注4)にきたチャンスボールは積極的に攻撃し、フットワークの良いシモンを逆に翻弄。守備と攻撃の切り替えがうまくシモンが守勢に立たされます。BHのウイナーもかなりありました。

2セット目はお互いサービスキープが続き3-4のリューのサーブ。3本のエースが決まったもののミスもあって40-30。シモンにとっては初めて相手のサーブで2ポイントを取りそして待望のセカンドサーブ。
これまではリューのサービスゲームは40-0か40-15で簡単にキープされていました。

しかしこれがこの試合シモンの最大のチャンスだったという厳しい現実からもよくわかるように、リューのサービスゲームが余りにも素晴らしくそして完璧に近かったため、結局シモンはブレークチャンスが一度も無いままTBに突入。

TBでは3-3からリューの135MPHのセンターサービスエースで4-3になった後、リューの打ったドロップショットでネットに出たシモンを見事なBHクロスコートパッシングショットで決めて初のミニブレーク。

シモンの3-5のサーブに対して前に出てきたリューをシモンがBHダウンザラインのパッシングショットで対応するもアウト。6-3でサービング・フォー・ザ・マッチのリューは133MPHのサービスエースを決めてゲーム、セット&マッチ。

その次のロシアのアンドレエフとの対戦ではファーストセットを落としたものの、セカンドとファイナルをタイブレークで破り、今日のマリー戦に進出。7-5、7-6で惜敗。30才の誕生日を勝利で飾ることはできませんでしたが、本大会でのリューの活躍はベテランの復活を確信させてくれたと思います。

ガスケ 対 ベルダスコ(10番シード)

試合開始前から多くのファンが押し寄せ一般席は超満員。
入場を待つ長蛇の列が各入り口に見られました。

試合は一方的だったものの、天才型ガスケのプレーと努力の人ベルダスコの試合を楽しみにしているテニスファンがこんな
にもいるなんて1テニスファンとしてはとても嬉しい。

試合開始からベルダスコが全豪の勢いをそのまま活かした形で、自信に溢れるショットを打ち続けます。特にBHのダウンザラインも要所で正確に決め、ガスケの逆を突くショットも含めてクリーンウイナーが多々あり。

ガスケがラリーをコントロールしていてもベルダスコのフットワークが良く、左右に走り我慢しきれずに先にミスをするのはガスケ。

ベルダスコがバランスよくドロップショットやインサイドアウトショットも織り交ぜるためガスケが動けないケースもあり、全体を通してガスケは先行出来ないままベルダスコのペースで6-3、6-2で試合終了。ベルダスコの余裕たっぷりのプレーが印象に残りました。

年末に行われたラスベガスでのアディダスキャンプで受けたアドバイスがまだまだ効いているようですね。いよいよ今晩はフェデラー対ベルダスコ戦です。

(注1)MPH:Miles Per Hourの略。時速~マイル。
(注2)DF:ダブルフォルト
(注3)BH:バックハンド
(注4)FH:フォアハンド

なるほど、リュビチッチは完璧なプレー内容でしたね。
シモンは昨年末と比較して少し調子を落としているようですが、それでも世界8位にこの内容での完勝とは恐れ入ります。

ちなみに1MPH=1.6km/hで計算すると、

133MPHは213km/hくらい
135MPHは216km/hくらい
137MPHは219km/hくらいです。

125MPH=200km/hと覚えておけば計算がしやすくなります。

133=125+8 ですから、

133MPH=125MPH+8MPH
      =200km/h+8×1.6km/h
      =200+12.8 km/h
      ≒213 km/h

という計算です。暗算で行けます。これ豆知識な。

10 件のコメント

  • フォーさん、貴重な生レポートをいつもありがとうございます!

    リュビチッチはシモン相手に完勝だったようですね。

    ライストでマレー×リュビチッチ戦を見ていましたが、手に汗を握る接戦でどっちに転んでもおかしくない内容でした。
    No4のマレー相手に素晴らしかったです。

    錦織選手は腕の状態が良くない中、そんなリュビチッチ相手によく頑張ってくれたと思います。

    >マックウィンさん
    錦織選手が元気に戻ってくるのを心待ちにしつつ、他の選手の試合を楽しみ(研究!?)ましょうね。

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  • フォーさん、ありがとうございます。
    リュビチッチVSシモンでスタンドがガラガラって衝撃ですね。
    元3位と若手ホープなのに...勿体ない。

    団長、懇切な脚注ありがとうございます。DF、BH、FHくらいは分かりましたとも、もちろん、当然!! MPHは...知らんかった。数学講座の続編お待ちしております。

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  • >>フォーさま
    れぽ乙ですm(_ _)m
    びちっちは今大会調子上げてきましたね……
    伊達ににしこりに勝ったわけじゃありませんでしたね。

    にしてもベルダスコ、ガスケに勝ったとはなかなかですなぁ。
    あるテニス雑誌に「ベルダスコはバックが大きな弱点」とか
    書いてありましたけど、改善したんですかねぇ?!

    ってかだんちょあったまいいなwww

      引用  返信

  • フォーさん ありがとうございます

    ガスケ 対 ベルダスコを読んでて で「一方的な試合」と書いてあったのでガスケが楽勝なのだと思ってました。
    ベルダスコが勝ったのか・・・・・

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  • iさん、ちょっと手が回らなくて実況やってません。すいません。
    ですがtakaさんが書かれたように、自由に実況はやってかまいませんのでよろしくお願いします。錦織以外の試合でもOKです。

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  •  団長、皆様、お久しぶりです!!!何日ぶりのカキコかいな…

     フォーさん、すばらしい現地観戦レポートありがとうございます!
    しかし、今は、現在進行中の試合にどっぷりつかっております><

     ロディックの復活は本物ですね!!ナダルとの準決勝は感動ものでした≧0≦キャー! かつての一生懸命な彼が帰ってきて、うれしいです。今の彼なら、もう圭にメンチ切る必要ないでしょう^^)

     しかし、フェデラーは勝てませんでした(;_;)あんなちょっとしたことで、集中力が途切れてしまうなんて…しかもそのままずるずると…

     そんな展開になる前に、ミルカが見てられないとばかりに退席して行ったのが、とてもとても印象的でした。どうしちゃったのかなあ…

     圭はもちろん大好き!だけど、フェデの大ファンでもあるので、残念でなりません。心配だよん><

     そして、心配だと言えば、圭の肘のぐあいです。やっぱり、長期離脱になってしまいましたね。第2のしゃらぽあにならないように、しっかりと治してほしい!!!

     圭が見たいけどおりこうして我慢するから、圭も我慢して、あせらずにちゃんと完治させてください。
     

      引用  返信

  • フォーさん
    疲れているのに詳しいリポートありがとうございます。
    シモンは今大会元気がありませんでしたが、
    自分の調子がいまいちなときに、自分のプレーがうまくいっていないときに、どのようにそれを打破するか、そういうのがまだ
    上手じゃないような。。。
    にしてもいらだつシモン、見たかったような見たくなかったような。いかにもフランス人みたいな怒り方してたんでしょうね。
    苛立ち方にもお国柄表れます^^;

    リュビチッチ、才能ある選手だったんですね。
    今回録画できている中にまだみていないけどリュビチッチの
    対戦の様子があると思うのでしっかり見てみます。

    ガスケ、私はまだ調子よく素晴らしいときのガスケをみたことが
    ありません。でも好きな選手だと感じています。
    また頑張ってランキング上げて欲しい!!

    ベルダスコ、もうグ~ンと急成長した選手ですよね。
    自信を持つことがいかに大事かわかります。
    ベルダスコのプレースタイルがナダルを破るヒント持ってると
    思います。圭くんも同じ系統のような気がしますー。
    ベルダスコの思いっきりよいプレーは見ていて気持ちがイイ!!
    好きですねー。ダスコにはこれからも活躍してもらいたいです。
    今実力的にナダルを倒せる一番近い位置にいるのは、マレー?ダスコ?

    生で見たいぞ、早起きできれば。
    実況もやるなら尚更だー。
    偶然起きれたら覗いてみますね
    圭君以外の実況版。

      引用  返信

  • フォーさん。ありがとうございます。コメント遅れちゃいました。
    リュビチッチ対シモンはすごく観たい試合なのに。。。もったいないな~。
    フォーさんが言われてた、「最大のチャンス」でゲームが取れるかどうか勝負が決まってしまうのは、技術+メンタルも関係あるのでしょうかね。
    マッチポイントを何回もしのいで逆転で勝つ時は、メンタルと技術がちょうどいいバランスなのか、ゾーンに入ってしまってるのか。すごい集中力なのか。
    あぁ、ゾーンに入ったらマッチポイントなんか与えないのか…
    よく分からなくなってきました。
    テニスはサーブにしろ、ラリーにしろ1球1球が勝負なので、観る方も気が抜けません。そんな中、メモしてレポートなんてすごいです。私にはできません。フォーさん式速記術ありそうですね。(笑)
    鼻血式速記法も早く覚えないと、ついていけなくなりそうです。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。