改善すべきはまずは試合運び。今は雌伏の時。バルセロナで捲土重来を(2019モンテカルロ2回戦 vs. エルベール レビュー)

2019 Monte Carlo (Masters 1000)
2nd Round
Pierre-Hugues Herbert def. Kei Nishikori[5], 7-5,6-4

心配された体調の問題は(少なくとも見た目上は)ありませんでした。
最後まで異変なく試合を終えました。

そこは良かったのですが、ブレイクポイントを10回迎えながら1本も取れなかったことが響き敗戦となりました。
それに加えエルベールの勝負所でのプレーが全て素晴らしかったことが重なりました。2ndセットは隙がありませんでした。

それほどミスが多いという感じはありませんした。ミスの数は錦織、エルベールとも同数でした(確か、25本前後)。

ただウィナーの差が圧倒的でした。錦織14(確か)に対しエルベール31。
ブレイクポイントの問題も確かにあったのですが、攻め手に欠いたこととエルベールの決定力の強さもあったので、1つ2つブレイクしたところで、勝ったとは言えない試合だったと思います。

なぜこれほどまでに決められたのか。どうやったらそれを回避出来たのか。
個人的に思う最大の要因は、錦織のエネルギー不足なのかな、と。

比較的簡単にオープンスペースに攻め込まれていましたし、振られてからの返しが弱かった。
攻め込んでおいてからのフィニッシュのショットで差が出ていました。
躊躇なく前に入ってくるエルベールに対し、1テンポ置いてしまう錦織。
簡単な球を決めることができず、ミスもする錦織と、難しいところからでも1本で決めてくるエルベール。

エネルギーの差を感じました。フットワークが少し、落ちているようにも見えます。

あと、テニス界全体の流れとしてどんどんボールがフラットになってきていると思います。
スピンのボールは安定はしますが、時間を与えてしまいます。
スピンのボールの跳ねにも、みんな対応できるようになってきてしまいました。
クレーコートでもポンポン早いタイミングで打つようになってきました。今日のエルベールもそうでした。

錦織は序盤、フレームショットが多く、フォアの調整に苦労しました。
あまり思い切ってフラットにボールを打てる状況ではなかったと思います。
これは今日に限らず、ここ最近はずっとスピン過多のように思っています。

それでも体のエネルギーがあれば、スピンもかかってスピードのあるボールも打てると思いますが、今日はそれができませんでした。

あとはサーブのコースですかね。
1st確率は70%を超えましたが、wonが上がりませんでした。
1stセットを取られたのは、1stサーブをことごとく入れながらもきっちりリターンされ、ミスに繋がったことが原因です。

ブレイクポイントでサーブでポイントを取ってくるエルベールと対照的でした。

すなわち、1stの確率を上げることはそれほど重要ではなくて、入ったらポイントの取れる1stサーブを打つことの方が大事なのです。
まさに、ハモ理論の根幹をなす考え方。

誤解しないでいただきたいのは、1stが入らない方が良いと言っているのではないこと。
クオリティの高いサーブを打って、それが確率高く入るに越したことはありません。

ただ、基本的にはクオリティの高いサーブと、入る確率はトレードオフの関係にあるので、
どっちを取るかとなると、確率よりクオリティですよ、という話しなのです。

2ndセットで1stサーブが4本甘くはいって、全て深くリターンされたとき、次の4ポイントは強く1stサーブを打つ場面がありました。
なので、錦織も体感としてその辺のことは分かっていると思われます。
入れに行ったらやられる、と。
けどどうしても、1stを入れたいと思ってしまう心理は分かります。だから難しい。

エルベールの強みは、ミスしようが錦織が良いショット打ってこようが、お構いなしに次のポイントでガンガン攻撃してくるところにあります。
最近の錦織はそれができていないことが気になります。
その気持ちを取り戻せば、サービスでももっと攻撃的に行けるようになると思います。

その他、キーとなったポイント

  • 1stセット2−1の0−40の3BPチャンス、完全に相手の態勢を崩してあとは入れるだけのドライブボレーをネット。迷いがあったとしか思えない。
  • 4−4の30−40のブレイクポイント。2ndサーブに対し、今日まだ試していない前に入るリターンでタイミング合わずネット。ストローク戦では錦織が有利の状況だったので、後ろからリターンしてラリーに持ち込んだ方が良かった。まったく同じことをロッテルダムのバブリンカ戦でもやったが、ここはチームでよく話合って修正して欲しいと思う。
  • 2ndセットは内容的に1stセットより良かったと思う。ただエルベールがさらに良くなった。2ndセットの中でもどんどん良くなった。1stセット序盤で流れを作れなかったことが最後まで響くというのが最近のパターン。
  • 余裕がないときのクロス偏重が出てしまった。エルベールに先にストレートに展開された。恐れずストレートにもっと打ってほしい。序盤からでも良い。

と、なかなかポジティブになれない結果と内容ではありますが、きっかけ1つの気がします。
ミスで大崩れという試合ではありませんでしたし、相手の調子が良かったことも確かですが、
相手の調子が良かったらいつも負けてしまうようでは困ります。
そこを受け止めて、上手い試合運びで逆転してきたのが錦織圭なのですから、その良さをまずは取り戻したい。
今日くらいの調子でも、これまで多くの試合を勝ってきました。

作戦はショットセレクションが原因で負けることは、錦織らしくないです。
そこは対策は難しくありませんので、バルセロナまでにもう一度自分のテニスを考え直して、復活してほしい。

ツアー3連敗、最近4大会で2勝は辛いですね。でも二度優勝したバルセロナで、疲労もなく調子上向きで迎えてもらって捲土重来と行きましょう。

106 件のコメント

  • フリッツと言えば、2016年のメンフィスオープンの決勝が思い出されますね。
    今の混戦状態を思うと、あの時の4連覇って信じられない記録ですよね。
    ここのところドローにまったく興味なくなって、初戦の相手が誰であるかの前に、錦織君の自分自身との戦いだと思っています。
    どうか自分自身に勝ちますように! そして自分のテニスができますように!

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  • 全く同じこと思ってました!
    ほんと、その通りですよね

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  • もう本日日本時間18時〜初戦なのですね!ふぅ〜〜(複雑な想いのため息が。。。)
    フリッツ選手。ROMさんのフリッターがいいですね!
    外食予定なので、こっそりタブレット観戦しながらフリッターを食そうと思います。

    もしメニューになかった用にプリッツも買いました。
    てやんでープリッツ。ポキっポキっポキっ!!!

    頑張れ錦織!!

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  • リリマリさん、プリッツ、いいですね。
    わたしも、ポキッポキッポキッー❗とやります。
    頑張れよー錦織君❗

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  • ただ錦織圭がどんなに落ち込んでも引退するまで応援し続ける姿勢は貫き通します
    応援するスタンス、叱咤激励したりひたすら応援するのみもありだと思いますし辛口な意見も僕はありだと思います
    小学校3年からずっと応援してますから思い入れはあります
    今日はもう勝っても負けても驚きません
    試合内容に注目したいです
    ねがわくば負けても同じ事の繰り返しはしてほしくないな
    果敢に自分から先に仕掛けてストレートに撃ち抜イて欲しいしサーブも思いっきり打って欲しいしフォアもスピン過多にならずにあがりっぱなのフラットを撃ち抜いて欲しい
    ストイックさは別にしていつもの試合に入っていく集中力が感じられない(こんな事書くとまた批判されるかな)からそのへんを改善して欲しい
    それができたらたとえ負けてもかまわない、ってそれができたら負けないか😅

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。