GAORA放送感想:2010デルレイビーチ1R vsベッカー

GAORAによる「デルレイビーチ1回戦 錦織圭 vs ベンジャミン・ベッカー」を見ました。

まずGAORAさん、貴重な復帰戦を放送してくれてありがとうございましたm(_ _)m

しかも「実況:鍋島、解説:丸山(薫)」という私の大好きなコンビで堪能させていただきました。

全般的な試合の感想を述べます。

観客動員数は意外と少ない

まず驚いたのは観客の少なさ。

行った人は余裕で1列目で見ることができたでしょう。

まあ、ATP250の1回戦なんてこんなものでしょうか?

例えば楽天オープンなどと比べてもひとけた観客が少ない感じです。

(すなわち「数百人」の下の方)

座席の数も有明と比べたら少ないですしね。

ただ2年前の決勝を見ても分かるように、上位ラウンドでは観客も増えて盛り上がりますね。

日本からの報道陣も少ないようでした。

「錦織圭 15-0」の著者、神(こう)さんがいつものように密着して写真を取っていました。ベンチ後ろで一生懸命撮った写真を確認していました。

錦織の復帰戦(当初予定)だったホノルルCHに出かけたフォトグラファーのJET田中さんらしき姿は見えませんでしたが(というかどういう風貌か知りませんがw)、行かれたのでしょうかね?

いずれにせよこれは、アメリカ在住で行ける人は「絶対行っておくべき」大会ですね。錦織が出場するなら・・・。

実は私、3月中旬にフロリダに別件で行く予定があったんですよ(残念ながらキャンセル・・・)。

時間を見つけてIMGアカデミーの見学(できるかどうか不明)とか、日程次第ではマイアミの予選を見るとかできるかなーなどと妄想していたのですが、非常に残念です・・・。

注目はされているんでしょうけど、日本での復帰だったらいろいろと騒がれたり、しがらみもあったりしてやっぱり(現在の)地元での復帰で良かったなと思いました。

出だしは上々

「緊張した」と錦織が語った出だしですが、素晴らしかったです。復帰にかける意気込みが伝わってきました。

これを最後まで続ければ勝利できたでしょうが、ややオーバーペースだったでしょうか?まあ11か月ぶりの実戦でペース配分を考えて・・・というところまで行かないでしょうから、良かったと思います。

これで「意外と大丈夫だな」と錦織も思ったのではないでしょうか。

唸る「ブンブン」ベッカーサーブ

もう一人の「B.ベッカー」のサーブは、本家「B.ベッカー」、ボリス・ベッカーほどではないかもしれませんが、威力十分。

並んだ感じでは錦織より身長が低い感じがしますが、200kmのサーブを連発してとにかく勢いがあります。

錦織は試合を通じてリターンに苦労していました。

2ndセットはベッカーがレベルダウン

「プチ錦織劇場」となった2ndセットは、錦織が「ベッカーのリターンミスが多かった」と語った通りでした。ただ、錦織のサーブも1stセットよりは良くなっていました。

錦織のサーブは170km/h前後が多かったと思います。回転をかけるサーブ主体で、フラットはあまりありませんでした。

フォルトの仕方も、明らかに長いフォルトも結構あったりして、まだ回復途上であることが伺えました。

錦織も良くなりましたが、それ以上にベッカーのミスが目立った第2セットでした。

それにしても錦織のフォアはやっぱりすごい。「エースの匂いがするフォアハンド」でした。

ファイナルセットはベッカーが再び加速

ファイナルセットはベッカーが復活してきました。といってもほんの少しの差だと思うのですが、序盤に思い切ったフォアの打ちこみなどがあって勝負所を制しました。

錦織は、積極性は出ていました。ベッカーの2ndサーブを叩きに行った結果、突っ込みすぎてミスとなったバックハンドリターンが2,3本ありました。

ネット際からフェイクを入れて上手く流したフォアボレーもありましたが、わずかにミス(これで0-4になりました)。このあたりは、まさに「試合勘」だと思います。

試合勘が戻れば、何も考えなくても入るようになると思います。

ミスが出たショットも、何が悪いという感じではありませんでした。「本当なら」入るはずなのに、何故か入らないという感じでした。タイミングかもしれませんし、判断の早さかもしれません。打ってる本人の感触は悪くないと思います。

現状では、試合中に即座に修正することは難しい感じだったと思います。0-6でしたが、手も足も出ないという感じではありませんでした(ベッカーのサーブはすごかったです)。

総評

なんとも評価が難しい試合でした。何回も述べているように、復帰初戦としては、上々でしょう。40位の選手に対してラリーでは負けていません。40位と言えば錦織のキャリアハイ以上です。特に錦織のフォアハンドはやはり絶品です。タイミングの取り方が何種類もあります。「七色のフォアハンド」と言ってよいでしょう。

スコアの差は、やはりサーブ力だったと思います。錦織の唯一のサービスエースは、ファイナルセット0-5からでした。ベッカーは、アガシの引退試合でのマッチポイントがそうであったように、アドサイドからセンターへのサーブのスピードとコースが素晴らしく、要所で決まっていました。

ジャパンオープンで見たときも思ったのですが、ベッカーのフォアは威力はありますが、あまりクロスの鋭角に行く場面を見ません。フォアのクロスで押し込んでおけば、センター付近に返ってきますのでその後、展開がしやすいはずです。この展開がもっと増えればよいなと思いました。

いい試合でありましたが、私は錦織のいい時と比べたら、やっぱり落ちると思いました。しかしそれは言い換えれば、これから大きな上昇の余地があるということですし、そんな状態で40位相手に勝負になっているのですから、すごいの一言です。

丸山薫さんは

「私は心配していない。錦織は世界から見ても『選ばれた選手』です。必ず戻ってくる、いや、これまで以上の活躍をします。」

というようなことをおっしゃっていました。私も同感です。

また錦織が早いタイミングで打ったフォアを評して、

「誰もがフェデラーのように早いタイミングで打ちたいと思うができない。しかし、錦織はそれができる。」

ともおっしゃっていました。

プロから見てもやっぱり錦織のフォアはすごいんだな、と思いました。

楽観はできません。しかし、悲観する必要はないと感じました。

7 件のコメント

  • やっぱり圭はすごかったですねえ!!!
    かんどーして、画面がよく見えませんでしたwww

    丸山さんの言うように、全然心配ないと思います。
    試合でしか鍛えることのできないものもあります。
    (たとえば、サーブの確率、精神的なスタミナ等)
    そういうものは、徐々にアップしていければOK!!

    未来はあかるい!ですよー≧▽≦
    期待して待っていて大丈夫だと思います!

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  • 詳しいリポート・感想ありがとうです。今後に期待しましょう。
    フロリダ行きキャンセル残念でしたね。私も今仕事が忙しくて休みを取れるような状況ではないので、錦織選手が7月にこっちに来てくれる事に望みをかけるのみです。

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  •  私は独自のスコアーを付けて、この試合を分析してみました。

     そのスコアーの観点は、ほぼ互角のストローク戦の状態から
    どうなったのか?というものです。

     私の独断によれば、「ほぼ互角のストローク戦の状態」となった
    のは3セットを通して45本あり、その内錦織がポイントを取った
    のは26本(約58%)でした。また、そのセットごとのポイント率の
    推移は、59%→69%→47%となっていました。

     さらに、上記でポイントを取った本数の内、いわゆる攻め取った
    ポイント数をセットごとにピックアップしてみると、錦織が5本→
    4本→4本であったのに対し、ベッカーは1本→2本→2本でした。

     以上より、少なくともストローク戦の展開については、錦織が
    ほぼ終始支配できていたが、第3セットはミスの割合が最も多か
    ったため、0-6のスコアーにつながったという見方ができると
    思います。(第2セットは逆にベッカーのストロークミスが多か
    った。)

     要は、ストロークそのものにはほとんど問題は残っておらず、
    今後勝っていくための技術的な問題は、サーブの1点(厳密には
    スマッシュも)に絞られていると見てよいのではないかと思って
    います。

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  • 素晴らしい分析ありがとうございます。
    確かにスマッシュが弱くて返されて、その後フォアボレーをアウトした場面がありました。

    錦織はバックボレーは上手いと思いますがフォアボレーは時々ミスしますね。

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  • 行ってません。ハワイで力尽きました(汗)別の仕事もしているのでなかなか難しいです。行っても元を取るのも難しく・・・
    悲しくなるのでこの辺で(笑。

    次彼の試合を撮るとしたらローランギャロスか、その前哨戦だと思います。

      引用  返信

  • 皆さんの分析を伺ってますます、明るい展望がひらけてきました。3月は、インディアンウェルズとマイアミの二つというのもペース配分としては、いいかんじがします。今はモーティベーションもあがって次の試合にむけ頑張っていすのでしょうね。楽しみだーー

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。