2016 IPTL 3日目 錦織圭 vs. キリオス レビュー(試合の流れ再現)

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写真提供:IPTL PR事務局 ※本大会での写真ではありません。

2016 International Premier Tennis League
Japan Warriors vs. OUE Singapore Slammers
Men’s singles
Kei Nishikori def. Nick Kyrgios, 9-4

前日のベルディヒ戦でもキレキレのプレーを見せてくれた錦織圭が、それ以上とも言える圧巻のプレーでキリオスを降しました。
現地観戦だったということを差し引いても、はっきり言って衝撃とも言える強さでした。

試合の流れ

Game1 キリオスサーブ 0−1 ※錦織から見てのスコア
1ポイント目から激しいラリー。最後は錦織のドロップが鮮やかに決まり、調子の良さを伺わせる。
しかしセカンドでも超高速なキリオスのサーブが炸裂。

Game2 錦織サーブ 1−1
ベースラインから1歩も引かずキリオスを左右に振る錦織。
少しでもキリオスの返球が甘いとすかさずフォアでウィナー。
サーブで締めてラブゲームキープ。

Game3 キリオスサーブ 1−2
ネットインが2回(うち1回はサーブ)あり、やや不運な形でキープを許す。

Game4 錦織サーブ 2−2
ネット際の攻防で冷静に相手のオープンスペースを突いて決める。
フォアでウィナー。ドロップショットも決めて盤石のキープ。

Game5 キリオスサーブ 2−3
素早い動きでプレッシャーをかける錦織。しかしサーブ1本で決めるキリオス。
ダブルフォルトで40−30となったところでジャパンウォリアーズがパワーポイント(取ったら2ポイント)で勝負。
セカンドサーブに対し、大きく下がって構える錦織だったが、下がりすぎたかタイミングが合わずフレームショット。

Game6 錦織サーブ 3−3
リターンエースを食らったかと思うと、突如バックハンドのイージーなネットを2本。大ピンチを迎える。
しかし今年の錦織を支え続けたバックのストレートが決まると、追い込んでからのボレー、サービスと理想的な形で挽回。
今年の成長した姿を日本のファンに披露。
ノーアドのポイントはキリオスの渾身の強打を真っ向から返し、最後はカウンターで粉砕。
しびれた〜

Game7 キリオスサーブ 4−3 Break!
鮮やかなリターンエース、そして再びカウンターのフォア。
ストロークで劣勢に立たされ始めたキリオスがネットにかけ、ついに錦織がブレイク。
リターンも良く返っている。

Game8 錦織サーブ 5−3
錦織がキリオスを左右に振る。
サービスポイント、サービスエースと連続でフリーポイントで難なくキープ。
ここまで第6ゲーム以外はほとんどミスなし。

Game9 キリオスサーブ 6−3 Break!
錦織のリターンが冴えまくる。マッチポイントでキリオスはサーブアンドボレーで勝負。
冷静にリターンで追い出し、無人のコートへパッシングショットでまずはセットを勝利!

Game10 錦織サーブ 7−3
ここから延長戦。チームの勝敗は獲得ゲーム数で決まる。
この時点でジャパン20ゲーム、シンガポール26ゲームなので、6ゲーム連取すれば並ぶ。
その後、スーパーシュートアウト(10ポイントタイブレーク、9-9になったら次のポイントで決まる)となる。

錦織のサーブの確率、プレースメントが良くキリオスはリターンをなかなか返せない。
あっさりキープ。

Game11 キリオスサーブ 8−3 Break!
エキシビションならではの、両者によるバックのスライス合戦。最後はキリオスがサイドアウトで決着。
錦織のディフェンスが冴えに冴える。飛びついて返し、片手バックで返し、最後はフォアのスライスで返し、無理をしたキリオスがフォアをネット。
ストロークで分が悪いキリオスはダブルファーストに賭けるも、ダブルフォルトで3連続ブレイクを許す。

Game12 錦織サーブ 9−3
手駒を使い果たした感のあるキリオスが、強打に活路を見いだそうとするも大きくアウト。
淡泊な形でミスを繰り返し、錦織にゲームを献上。
この時点でゲーム数は22-26。まだ遠い。

Game13 キリオスサーブ 9−4
ようやくキリオスのサーブが決まる。
そして錦織のウィニングショットが惜しくもアウト。
下がりながらのフォア回り込みストレートという、とんでもないスーパーショットを錦織が披露。
このショットは調子が良いときに出る。
他にこのショットが打てるのはモンフィスくらいのもの。鳥肌が立つ。
さすがに全ゲームブレイクするのは厳しく、ここでキープされ試合終了。
とにかく錦織の強さが目立った。

また完成しなかった・・・タイムアップ。
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12 件のコメント

  • VSキリオスの再現をありがとうございます。ATPトーナメントとは異なるルールで、ポイントやランキングの縛りがない状況ですから、錦織選手はリラックスして戦っていたように感じました。遊び心満載のゲームだったと思います。自由自在というのは、このゲームのことを指すのでしょうね。翌日のベルディヒ戦も凄かったですが(^^)

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  • あの時の興奮がよみがえります!!

    それまでのキリオスのプレイを見て
    サーブ速!Σ( ̄□ ̄;)フォアハンド強烈!!
    あんなの打たれたらどうしょうもないんじゃないかと心配してましたが
    すべて粉砕してくれました♪

    プレッシャーから解き放たれた真の強さを見た気がします。

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  • キリオスとべルダスコ 6-1でしたね
    べルダスコもダブルスの時に、フォア176キロとすごかったですが、キリオスのサーブにべルダスコが太刀打ちできなかったですね

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  • 神ってましたね、間違い無く今年最高のプレーレベルでした!

    本人も笑みを浮かべながらプレーしていたのでそれが観ていて嬉しかったです、
    エンターテイメント性有りピンチ有りで超面白かったです

    試合に負けたら嫌だとか、ミスをしない様にしよう、という気持ちよりもむしろ、楽しもう、自分のやりたいプレーをしようという気持ちでやる方が錦織さんは良いのかもですね、イキイキしてました、

    iptl前の1週間テニスをしてなかったと言う話ですが、14年の全米前も練習がロクにできなかった中での準優勝なので、錦織はケガ明けに好成績になる傾向から観ても、テニスから離れる事でプレッシャーやさか解き放たれフレッシュなプレーができる可能性がありますね、試しにテニスから離れて大会に臨んでみたら最高のパフォーマンスが出せるかもしれないですね。割と本気でそうして貰いたいです

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  • スレ違いかつ既出でしたらすみませんが、

    日経新聞夕刊スポーツ面「駆ける魂」で12/5から今日12/7まで3回に渡り、大坂なおみ選手についての記事が彼女の印象的な写真と共に掲載されています。

    15歳の大坂を視察にいった女子担当の吉川コーチが、彼女の母親から「日本人でやっていくのでサポートをお願いします」といわれてすぐ一緒にトレーニングを始めた。当時はフラットの強打とサーブだけで、スライスは練習でも打ったことがなく、ボレーもスピンもスライスもあまり練習したことが無かった。
    2、3歳のころに姉に負けたくなくて全てまねしていたことの一つがテニスで、「好きでやっていたかはビミョー」。現在の女子日本代表コーチ兼個人コーチのデービッド・テイラーによると、「プレーパターンを増やすこと」「プレッシャーがかかる場面での確実性」「パーフェクトなバックハンドの技術に比べ、不安定なサーブとフォアの改善」が喫緊のポイントであること等々興味深い内容の記事でした。

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  • 私も同感です。キリオスとの試合は何度見ても素晴らしいし、楽しい!こちらまで心から楽しめました。
    そして12月後半になると色々とTVに登場してくるみたいで、わくわくしてます。

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  • はじめてコメントさせていただきます(^_^)
    いつも楽しみに読ませていただいてます。
    全米で鮮烈ブレイクしてから、ゾッコン錦織テニスファンになりました。
    今回、地元埼玉だったこともあり、はじめて生観戦が叶いました。
    キリオス戦がすごすぎて、団長様の言われた通り、鳥肌たち、いつも、こんなものなんですか!??生圭さんは!!と思っていました。
    団長様の記事をみて、やっぱ、すごかったんんですね。喜びがひとしおです( ´∀`)
    なんか、豪快だし、悪魔か天使か、そして何より楽しそうで、何もかも吹っ飛ぶ爽快な勝利でした。
    キリオスの笑顔も、何もかも、ファンとして最高の時間でした。
    こんなシーズン最終ゲームを観戦でき、幸せです。
    来シーズンも全力応援いたします!!

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  • 今晩は。
    団長さま
    錦織選手vsキリオス選手戦の詳細解説有難うございます。皆さま同様、あの興奮と感動が蘇ります。また録画見直します。
    ANさま
    初めての生観戦がこの試合とは、何とお幸せな! 本当に良かったですね。私はいまだに生観戦の機会がないので羨ましいです。

    zeugさま
    日経新聞の大坂選手情報有難うございます。電子版の記事もあるのですが有料で、肝心なところから読めません。週末に図書館に行って思いっきり読んできます。フォーラムの日本選手情報や女子選手情報にも、彼女の情報がありますのでぜひどうぞ。

    その大坂選手、アメリカの経済誌Forbesで特集が組まれています。
    <Rising Japanese Tennis Star Naomi Osaka Signs Two Deals>
    http://www.forbes.com/sites/daniellerossingh/2016/12/02/rising-japanese-tennis-star-naomi-osaka-signs-two-deals/#44dec7d76c01
    この記事の抄訳記事です、非常に短くかなりはしょってますが。
    <注目浴びる19歳、大坂なおみは「最も有望な若手の1人」米経済紙が伝える>
    https://the-ans.jp/news/2269/
    2契約は日清食品さんとWOWOWさんですね。日清食品は、かのジャパニーズ・スターと同じスポンサーだと。経済誌の着目点はやはり商品価値ですね。
    脱線失礼致しました。

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  • @NORICHANさん
    LinkしていただいたForbesの記事読みました。
    アメリカの媒体ですが、日経新聞では触れられていた、米国テニス協会の女子代表監督メアリー・ジョー・フェルナンデスらが米国籍も保持している大坂なおみに今もものすごい圧力をかけている(アメリカ国籍を選ばせようとしている)という点については何も述べられていませんでしたね。おっしゃる通り、大坂なおみと錦織圭についての商品価値に着目した内容でした。

    日経新聞の記事によると、大坂なおみいわく「学級委員とかになるとかありえないタイプ。日本人の方が親しみを感じる」のだそうで、日本人に対する内外からの既成概念をスマッシュしてくれる彼女の動向にこれからも注目し続けます。

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  • NORICHANさま
    ありがとうございます💖
    デビス杯にも行けたらいいなと思います。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。