トップ30に入るためには(1)

一昨日書いた「今年の残りのスケジュール予想&年末ランキング試算(長文注意)」の中で、今年中にトップ50に入るためにはどのくらいの成績を残す必要があるかについて考えてみました。

その延長で今日は逆に「トップ30に入るような選手はどのような成績を残しているのか」について考えてみたいと思います。

この企画、かなり長編になりそうな予感なので本日は第1回とさせていただきます。
不定期更新で。
企画倒れにならないことを祈ります(笑)。

なぜトップ50じゃなくてトップ30かと言いますと、単純に50人調べるのがきつかったからです(汗)。
本当なら最低でも100人は調べないといけないと思いますが、まずは30人で傾向を調べてみたいと思います。

本日は試合数と勝率について。

トップにいる選手=勝っている選手ということで、ランキングが上がれば上がるほど試合数は増えるはずです。
負ければ次の試合はありませんから。

また、勝率も当然ながらランキング上位ほど高い傾向があると推測されます。

まず、サンプルとなるトップ30の選手ですが、これはATPランキングではなくてATPチャンピオンズレースの上位30人を対象とします。

ATPのページから簡単に取ってこれる勝敗数データはYTD(Year To Date)のものしかありません。
したがってこのデータを使おうとすれば、ランキングは通常のエントリーランキングではなくてチャンピオンズレースのランキングを用いるのが妥当です。

豆知識:エントリーランキングとチャンピオンズレースランキング

ATPランキングと言えば通常は「エントリーランキング」のことを差し、過去1年(52週)の成績をもとに算出される。
それに対して「チャンピオンズレース」とは年初(1月)から何ポイント獲得したかによって算出したランキングのことである。

つまり現在のチャンピオンズレースランキングとは、1月から9月21日までに得たポイントをもとにしたランキングのことである。

なぜ2つのランキングが存在するか?

その最大の理由は11月のマスターズカップである。
マスターズカップはランキング上位8人へ出場権が与えられるが、その出場権をめぐったポイント争いをウォッチするにはチャンピオンズレースの方が適切である。

一方、通常の大会のエントリーに対するカットオフやシード順位決めにはエントリーランキングが用いられる。
それはエントリーランキングの方が選手の実力を正確に表していると考えられるからである。
年初にポイントがリセットされるチャンピオンズレースランキングだと、1月~3月あたりはたまたまその時期に好成績をあげただけの選手が上位に位置することもあり、実力を正確に表しているとは言い難い。

チャンピオンズレーストップ30のデータは以下のとおりです。


(画像をクリックで拡大します)

Rポイント・・・チャンピオンズレースポイント
1大会P・・・1大会当たりの平均獲得ポイント

試合数はATPツアーレベル(IS以上)のものだけカウントされているみたいです。

ATPツアーレベルでも予選はカウントされていません。

また、デ杯ワールドグループの勝敗もカウントされているっぽいです。負けた数+優勝回数>出場大会数 になっている選手がいますから。

ちなみに錦織の勝敗は、現時点で12勝10敗、勝率54.5%です。

勝率とランキングの関係です。

見事に傾向が表れています。10位に入るには70%、30位に入るには60%以上の勝率が欲しいところです。

60%という数字は意外に低いと思われるかもしれません。平均して2回目か3回目で負ける計算ですから。

しかしこんなものです。1回戦負けもあれば準決勝進出もある、そんな感じの成績を繰り返した結果、こうなります。

意外なのはトップ30の選手でもまだ今年優勝したことがない選手が結構いることです。
バブリンカとか結構活躍している気がするのですが、まだです。彼の場合キャリアでもたしかまだ1勝。

逆にいえば優勝がそんなになくても上位に行けるということです。

トップ30でも優勝がまだの選手がたくさんいる中、18歳で優勝した錦織はやっぱり偉大です。

それにしてもナダルの77勝9敗はすごい。勝率もすごいが試合数が凄い。

このままいくとマッチ年間100試合を超えそうです。

第2回に続きます。

12 件のコメント

  • ええええ、何ですかw
    この、おもしろくなってきたところで終わっちゃうTVみたいなやり方は。
    チャンピオンレースランキングの存在を知りませんでした。
    ここの読者になるまではCHとFUなどの大会の分類も知らなかったので、こういう記事をどんどん読みたいです。
    あと、AIG観戦の豆知識というか、観戦が10倍楽しくなるような記事
    を希望します(過去の大会の模様とか)。
    たぶん、これから予定されていたと思いますが。
    錦織特集、すっかり忘れていましたが、おかげさまで録画できました。

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  • 質問で~す。
    ランキングでベスト8に入っていても
    マスターズに出られないっていうことがあるっていうこと?

    だいたい、ランキングとチャンピオンレースの成績ってほぼ
    いっしょなんですかね?

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  • 特に今の男子はトップ層が極めて厚いので、優勝の上位選手寡占化が著しいですよね。そういう意味では80位そこそこの18歳がすでに1勝していることがどんなにすごいことか・・・

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  • ナダル、鉄人ですよ、本当に。圭君はやはり凄いことをしてしまっているんですね。

    上海は楽しみです。なんせ、上位8人しかでないんですから。
    女子のマドリッドも毎年凄いことになっているんですよ。
    今から楽しみです。

    話がかわるんですけど、NHKの新しい朝ドラは島根県、松江がでますよ。
    圭君には全く関係ないけど、出身の松江のことが少しでもわかるかも・・。松江になかなか行く機会がない私は見ちゃいそうです。

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  • reikoさん

    マスターズカップに出場できるのはランキング上位+グランドスラム優勝者の計8人です。

    したがってグランドスラムに優勝しながらも8位以内に入っていない人がいれば、ランキング8位の選手は出場できない可能性があります。

    まあグランドスラム優勝するような人は大体8位に入っています。

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  • もう一つの質問ですが、年末にはエントリーランキング≒チャンピオンズレースランキングとなるはずです。

    完全にイコールでないのはチャンピオンズレースにはチャレンジャーの成績は加算しないからです。

    エントリーランキング上位選手はそもそもチャレンジャー大会に出ることは(ごく稀な例外を除いて)ありませんので、上位30位くらいまではほぼ一致すると考えていいでしょう。

    50位くらいまではあまり影響がなく、100位前後の選手だとチャレンジャー回りをしてポイントを稼いでいる選手はチャンピオンズレースには現れなかったりすることもあります。

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  • 初めまして。いつも楽しく読ませていただいています♪
    テニス観戦はまだまだ初心者の域を出ない自分にとっては今日の記事すごくわかりやすくて面白いです!
    こういった仕組みやルールを知ることでスポーツはもっと楽しめますからね^^
    それにしてもナダルはバケモノですね..^^;
    錦織選手が2、3年後、マスターズカップに当たり前のように出て戦ってる姿を楽しみに待っていたいと思います。

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  • チャンピオンズレースのポイントは
    エントリーランキングのポイントと異なり、
    チャレンジャー除外だけでなく、すべてのツアー大会がポイント対象というわけではありません。
    グランドスラムとマスターズ以外の大会のポイントは、成績が良い方から順に五大会分、計18大会分のポイントになります。
    したがってISG,ISで六大会以上優勝しても、六大会目以降のポイントはチャンピオンズレースには無関係になります。
    実際のところはそれほど影響ありませんが……。
    それ以外にもチャンピオンズレースには
    エントリーランキングと異なる細かいルールが存在します。

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  • noneさん、補足説明ありがとうございました。
    確かに細かい違いは他にもありますが、18大会採用でGSとMSは必須、ISクラスは5大会までという言うのは共通ではないですか?

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  • ありがとうございますー。
    だいたいわかりました。(だいたいっておい^^;)
    もうひとつ質問です。
    その年のNo.1っていうのは
     チャンピオンレースの1位
     ランキングの1位
     マスターズの優勝者
    のどれですか?
    ピントはずれてたらごめんなさい^^A

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  • netdash様

    はい、その通りです。共通です。私の勘違いでした。
    「その年の」と「過去52週の」という、
    年の最後には単なる言い方の違いにしかならない違いだけですね。
    変なことを書いてしまってすみませんでした。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。