【データ】2016年 トップ10のブレークポイントにおける勝負強さ

鼻血ブログ分析班のレポート第1弾です!

nakaさんがトップ10選手の、リターンゲーム全体でのポイント獲得率と、ブレークポイントでのポイント獲得率を比較してくれました!
ありがとうございます!

ブレイクポイントの獲得率はよく話題になりますが、各選手でリターンゲームでの強さそのものが違います。
「ラオニッチ、ブレイクポイントで弱え〜」と言ったところで、彼はそもそもがサービスゲーム偏重タイプで、リターンゲームでのポイント率は高くないので、それだけでは問題とは言えないのです。
平常時とブレイクポイントの時との比較が必要です。

(1) リターンゲーム全体でのポイント獲得率
(2) ブレイクポイントでのポイント獲得率

(2)ー(1)が正であれば、ブレイクポイントで勝負強さを発揮したと言えます。

さっそく見てみましょう。


10人中8人が(2)ー(1)がプラスであり、さすが勝負強さを発揮していると思いきや、マイナスとなった選手にジョコビッチが含まれています!
これは意外な結果ですね。
でも、ジョコビッチはリターンゲームのポイント率自体が非常に高いので、やっぱりブレイクポイントでも勝負強い印象を与えていますよね。

我らが錦織圭はプラス3.08%で、堂々の第2位です!
1位はモンフィスでした。これも意外な結果。

まあ、これはランキングの高い相手、低い相手すべて含んだデータですし、
ブレイクポイントの総数は、少ない選手で400くらい、多い選手で800くらいでしたから、年間で5ポイント前後、違った結果になっていれば率に結構な影響があります。
1%くらいは誤差と考えて良いのでは。

また、ブレイクポイントの獲得率が低くても、多くのブレイクポイントを迎えることができれば結果としてブレイク数は多くなります。
ブレイクポイントの獲得率を上げようと躍起になるよりも、総合的な力を上げて多くのチャンスを迎えるようになることの方が大事だと思います。

今回は計算していませんが、

ブレイクポイント数/試合数

で、「どのくらい多くのブレイクポイントを迎えているか」も出してみたいですね。

また、今回はリターンゲーム全体と、ブレイクポイント時を比較しましたが、前者からブレイクポイント時を除いて、ブレイクポイント以外の時とブレイクポイント時を比べてみると、よりはっきりした傾向がえられるかもしれませんね。
これは、簡単に再計算できますので後ほど追記したいと思います。

なお、上の表は簡素化していますが、裏ではnakaさんが相当な苦労をされています。

例えばリターンゲームのポイント率は、

a. 1stサーブのポイント数×獲得率
b. 2ndサーブのポイント数×獲得率

から、

(a+b)/総ポイント数

を計算して出しています。

ほんとにお疲れ様でした!

20 件のコメント

  • スプレッドシート、上手く埋め込めていますか?
    MacBookからは見えていますが、スマホ等からはどうでしょうか

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  • 団長さん
    オフになっても精力的で、ご苦労様です。

    報告です。
    PCは問題ありませんがタブレット(iPad)は表の7位までしか見れません。

      引用  返信

  • 労作、力作、お疲れ様でした!
    シート、iPhone上でもスクロールして10位まで見れました。これ、蓄積されれば論文になるんじゃないですかね?
    「テニスにおける勝負強さとは何か」
    みたいな論題で、主観的印象として「勝負強い」という印象を持たれるプレーヤーと、こういうスタッツの比較を通じて、観戦者はプレーヤーのどういった要素に「勝負強さ」を感じるのか、とか。

    …どこに投稿すれば良いのかな(・∀・)

      引用  返信

  • 高さを調節してみました。
    セルや表がはみ出たりしていますが、iphoneからは見れてます。
    これでいかがでしょうか。

      引用  返信

  • 団長さま、nakaさま
    お疲れ様です。iPhone6上では何の問題もなく見れてます。一覧になると比較し易くてわかりやすいですね。この形にするのに各選手のデータ集めと計算…頭が下がります。
    m(_ _)m

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  • 団長様 naka様
    素晴らしい分析データありがとうございます!
    頭の下がる思いで 感謝しつつ 読ませていただきました
    1位がモンちゃんだったりと意外な結果もありでとても興味深いです

    ATPマガジンでも時々データ紹介があり 楽しみなコーナーなのですが
    鼻血ブログにも分析班が出来て ますます楽しみです!!

    普段試合を見ながら主観的に感じてる事とデータが表すことが近い事もあれば
    遠かったり自分にとって新発見する事もあり それが新鮮な見る目を作る事となり 楽しいです

    年末年始は今年の試合をデータも参考にしながら見返すのも面白そう
    そして来シーズンの今年のデータからの変遷も楽しみですね

      引用  返信

  • 分析お疲れ様です!
    ジョコビッチのリターンP率はさすがというべきですね笑
    もう少し「とりあえず触る」ことができれば錦織も40%代になることができるんでしょか
    リーチの差で仕方ないところなのか読みでカバーできるのか

      引用  返信

  • 素晴らしいデータをありがとうございます。ビッグ4との対戦がたくさんあった今年の錦織選手は、大健闘ではないでしょうか。ティエム、モンフィス、ベルディヒなどと比べると、その差は歴然としていますね。ラオニッチは、1セットで、1ブレイクできればほぼ勝てるわけですから、ビッグサーバーではない錦織選手が、このような結果にならないと今のランキングは維持できないですね。

      引用  返信

  • @netdash
    団長様、naka様
    細かい計算による労力、データー作成、ほんとにご苦労様です。感謝しながら読ませていただきました。
    私はブレイクポイントでの勝負強さは、ジョコビッチ選手が一番強いと思っていたので、少しビックリです。
    こうやってデーター分析されたものを見ると、錦織選手は今年のブレイクポイントでの成功率が高かったんですねえ。
    そして団長様の仰る様に、
    >ブレイクポイントの獲得率を上げようと躍起になるよりも、総合的な力を上げて多くのチャンスを迎えるようになること、
    が勝負に強くなるためには大事なことなのですね。

      引用  返信

  • こういうデータ記事興味深いです。収集、分析お疲れさまです。
    BPでポイント奪取率が上がるのは、集中力が上がるのか、それか逆に普段もっとできるのに抜けていると考えることもできますよね。そう考えるとジョコは一つ一つのポイントで集中出来ているのであまり差がないのかも。
    モンフィスは集中力の波がありそうだし。

    ちなみにアンドロイドv5のスマホですがすぷれっスプレッドシート見れてますよ。:)

      引用  返信

  • データ収集・取りまとめありがとうございます。
    面白く読ませていただきました。

    この手の話題の時に気をつけないといけないのは、「あくまでもこのデータではこのように考えられるのではないか?」という指標であり、
    絶対的なものではないということですね。
    誰もそうは言っていないだけですが、これだけ見て勝負強さは錦織>ジョコだ!と短絡的には決めれないですもんね。
    データにはノイズも含まれますし、数字の取り扱い方、捕らえ方で意味が違ってくることもままあります。
    (例:錦織はファイナルセットが強い⇒A.勝負強い B.格下相手にもファイナルまで持ち込まれる など)

    ブレイクポイント率で気をつけないといけないのは
    A:0-40から2本落とし、30-40からブレイクした場合
     おそらく1/3で33.3%
    B:30-30から1本先行して30-40としてからブレイク
     この場合は1/1で100%

    「勝負強さ」という観点ではなんとなくBのが強い気がするかもしれません。
    (Aも30-40まで追い上げられたのに、それでもブレイクしたという強さも考えられるかもしれないですが。)
    が、どちらも取得・失ポイントは同じですので優劣はあまり付けれない気もします。

    >(1) リターンゲーム全体でのポイント獲得率
    >(2) ブレイクポイントでのポイント獲得率

    >(2)ー(1)が正であれば、ブレイクポイントで勝負強さを発揮したと言えます。

    ここに関しても、
    ・リターンゲームで40-0からの1ポイント と
    ・リターンゲームで30-40からの1ポイント
    などでポイントを取りに行く本気度が違う場合もあるかと思います。
    かつてのナダルはどんなポイントでも全てマッチポイントのように本気で取りにいっていたと思いますが、
    錦織は果たしてそうでしょうか?
    もしそうでないのであれば、このことがブレイクポイントでないリターンゲームのポイント取得率を引き下げ、
    結果としてデータ上「ブレイクポイントにおける勝負強さ」を引き上げる要因の一つになってしまいます。
    (いわゆる「捨てポイント」が(1)を低くし、(2)には「捨てポイント」が普通は無い)

    やっぱり意味があるのは団長の書かれている通り、リターンゲーム全体の指標が大事かな、と思います。

    とここまで書いて、元々議題に上がっていた「勝負強さ」とは違いますが、「リターンゲームの強さ」についてはブレイクポイント取得率のみを見るのが一番適しているのかもしれないですね。
    ブレイクポイントでは通常、サーバーもリターナーもポイントを本気で取りに行く=捨てポイントのノイズが少なくなりますから。

    そして今回のデータからも、リターンが強そうなメンバー(マレー、ジョコ、錦織、ナダル)はどの項目も高い数値ですし、
    モンフィスは本気でやればやっぱり強い、ということも言えそうです。

    冒頭にファイナルセット取得率の捕らえ方を例に出しましたが、今回の(2)ー(1)の数値が良い選手に関しても
    A.勝負強い B.通常時に本気でない
    という2つの捕らえ方が出来ると思います。

    。。。と書いたら、Kazuさんが既に書かれてましたね。

    --
    「捨てポイント」というところに語弊を招きそうですので一応フォローしておきますと、
    現実的には「本気で取りに行くポイント」と「全く取る気がない、ボールも追いかけないポイント」の100か0かだけでなく、その中間があります。

    あくまでも私の感覚でですが、
    錦織の場合、全くポイントをとる気がない、0のポイントはないと思いますが、
    通常時と、サーブに慣れてきた頃・勝負どころのゲーム・ポイントでの集中具合、構えなどは違っていると思います。

      引用  返信

  • 皆さま
    とても興味深いデータありがとうございます。
    自分ではさっぱりですが、データを見るのは楽しいですし、主観が伴う机上の議論よりもより事実を語ってくれてると思います。
    圭君はBP成功率は5位なんですね。
    確かにより多くBPを取得すればチャンスにつながると思うのですが、圭君の目標の1つが1つでもポイントを減らして勝っていくことじゃないかと思っています。
    もともとサーブでのフリーポイントも取りにくいので、無駄にゲームを長くするより、効率の良さが大事なのではないでしょうか。

    ふと思ったのですが、圭君の1試合のポイントの平均はどれくらいなんでしょうか。
    これも数字でなくイメージだと、他の選手より毎回ポイント数が多いのではと思ってしまいます。
    ポイントが多い=体力の消耗だと思うので。。

    それと、自分のサービスゲームでのデュース率なども気になります。
    いつもデュースになりませんようにと祈りながら見てるのですが、毎回デュースになるイメージです。

    こうした事ももしお時間があったら是非見てみてほしい~と図々しく思っています。
    分析楽しいので、お忙しい中大変でしょうが、お時間のある時に楽しみにしています!

      引用  返信

  • 興味深いデータありがとうございます。

    ビッグサーバーの三人、ラオニッチ、イズナー、大先生とあたったら、リターンポイント率は低くなっちゃいますよね?
    か、やはりマレーやジョコと当たる回数が多い人ほどリターン率はわるくなっちゃいますかね、

    さて、今期、
    マレーはラオ6回、イズ3回、先生1回
    ジョコはラオ3回、
    錦織圭はラオ0回、イズ1回、先生1回
    モンフはラオ4回、イズ0回、先生1回

    総試合数にもよりますが、やはりマレーのリターン力は脅威、なので、ランク1位なのですかね。

      引用  返信

  • 自分が知りたいと思っていたデータだったのでとても興味深く拝見させていただきました。
    トップ10の選手と50位以下の選手のブレークポイント獲得率を比べたいと思っています。どのようにしてデータ分析をしたのか教えていただけないでしょうか。

      引用  返信

  • おっつさん
    ①まず、ATPの公式サイトのスタッツのページで、今年のファーストサーブリターンのページに行き、
    今年、何本のファーストサーブを受け(TOTAL POINTS)、うち何本を自分のポイントにしたのか(POINTS WON)を調べ、
    http://www.atpworldtour.com/en/stats/1st-serve-return-points-won/2016/all/all/
    ②次に、今年のセカンドサーブリターンのページに行き、今年、何本のセカンドサーブを受け(TOTAL POINTS)、うち何本を自分のポイントにしたのか(POINTS WON)を調べ、
    http://www.atpworldtour.com/en/stats/2nd-serve-return-points-won/2016/all/all/
    ③それを足すことで、今年何本のサーブを受けて、うち何本を自分のポイントにしたのかを調べます。
    これで、リターンゲームの時に、平均何%でポイントを取れるかが計算できます。
    ④そして、上記の計算の結果(平均リターンポイント率)と、今年のブレイクポイントコンバージョン率のページに行き、今年、何回のブレイクチャンスを得て(TOTAL POINTS)、うち何回、実際にブレイクできたのか(POINTS WON)を確認して、ブレイクポイントコンバージョン率(BP成功率)を計算します。
    http://www.atpworldtour.com/en/stats/break-points-converted/2016/all/all/
    なお、④については、ATPの公式サイトに、既にブレイクポイントコンバージョン率(BP成功率)が記載されているのですが、小数点以下第1位を四捨五入しているようなので、小数点以下第2位くらいまで計算したい場合には、④のように計算をする必要があります。(実際は、当然、エクセルを使うのですが)

      引用  返信

  • nakaさん、詳しく教えて頂き本当にありがとうございます。とても助かります。

      引用  返信

  • グーグルスプレッドシートを作ってみたので、もし良かったら見て下さい。
    使うのが初めてなので、うまく閲覧できるのか、よく分かりませんので、見られた、見られなかったも教えてもらえると助かります。おそらくグーグルのアカウントを持っていれば見られると思います。
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1yU9_An6ATskB2OMCHshpE1P52_vr3rLqHsVmBC2lIVM/edit#gid=2083016269

      引用  返信

  • 先ほど、共有についての設定を変更して、リンクを知っている人は閲覧可になりましたが、それ以前は見られなかったと思います、すみません。
    これでも見られない場合は、コメントいただけると助かります。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。