ギメルストブ、新ランキングシステムについて語る

ギメルストブといえば元トップ100選手であり、現在はテニスチャンネルのコメンテーターなどをして活躍しています。

歯に衣着せぬキャラクターは賛否両論のようで、ときどき調子に乗りすぎてお叱りを受けることもあるようです。

そんなギメルストブがCTVgolebemediaという出版社(でしょうか)のWebサイトglobeandmeil.comの中のMatch Toughというテニスに関するブログコラムで、来年から採用される新しいランキングシステムについて説明しています。

Match Tough: Gimelstob explains ranking system changes

(Match Tough自体はTom Tebuttという有名なテニスライターのブログです。)

説明というよりは「弁明」あるいは「釈明」と言った方がしっくりくる内容でしたが、なぜ元選手でコメンテーターであるギメルストブが説明するのか?

実は彼、ATPのBoard of Directors(役員会とでもいうべきものか)の選手側の代表者3名のうち1人なのです。

つまり新しいランキングシステムの策定にも関わっている人物ということで、ATPサイドから説明をしているということのようです。

リンク先の10月29日付の記事は、新システムの弊害についてTomが警鐘を鳴らした10月27日の記事に対する返答として書かれたものでしたが、なぜかその10月27日付の記事はブログから消えています。

記事があったURL:Match Tough: Radical changes to ATP rankings?

数日前にはGoogleにキャッシュが残っているのを確認していたのですが、本日はそれも消えてしまっていました。保存しておけばよかったです。

内容は、チャレンジャーやフューチャーズ回りの選手たちにとって新システムは著しく不利である、上のカテゴリーに挑戦する機会が奪われてしまう、といった内容だったと思います。

それと全部のカテゴリーについてではありませんが、ベスト16までの配点表も掲載されていました。

これは非常に大きな情報です。次の記事でこれについては取り上げたいと思いますが、本日はギメルストブ祭りですwww

さて10月29日Match Tough記事 ”Gimelstob explains ranking system changes” に戻ります。

要点をまとめると、ギメルストブの言いたいことは以下の通りです。

1.私たちの最大の目的はポイントシステムを簡略化し、分かりやすくすることだ。旧システムではカテゴリーが細分化されすぎていて、テニス界の人間以外で理解している人はあまりいなかった。新システムではカテゴリーははっきりと区別されている。一つ下のカテゴリーでは一つ上のカテゴリーの半分のポイントを得ることになる。

2.私たちはトーナメントに優勝することに対してプレミアムを与え、より手厚い報酬を与えたかった。従って準優勝者に与えられるポイントは優勝者の70%だったものが60%に減額された。

3.その後、大まかに言って同じ価値を持つ2つの結果が同じ位のポイントを得るように、ポイント配分の調整を行った。もちろん厳密に行うことは不可能だが出来る限りのことはやった。ATP500の準優勝者のポイントがMasters1000のベスト4のポイントに近くなるように、といった具合に。他のラウンドについても同様だ。

4.どのレベルの大会であろうとも、優勝した選手は手厚く報酬を与えられ、ランキングを大きく上昇させるチャンスを得るべきだ。それは疑いようがないが、ランキングの高い選手がATP500レベルの大会に出場することが義務付けられるようになるため、それが帳消しになるかもしれない。

(netdash注:高ランキングの選手が高レベルの大会=高ポイントの大会に今までより出てくるようになるため、CHなど下のカテゴリーで優勝してもなかなかランキングを上げられなくなるかもしれない、と言っていると思われます。)

従って彼ら(netdash注:下のカテゴリーで好成績を残した選手のことと思われる)のランキングに悪影響が及ぶのを防ぐため、successとaccomplishmentの割合を維持する必要がある。

(netdash注:success=上のカテゴリーでの好成績、accomplishment=下のカテゴリーでの好成績と解釈しました。)

なるべく原文に忠実に訳しました。1~3はいいといして、4の部分は非常に意味が取りずらかったです。

ギメルストブも痛いところを突かれたのでしょう。「それはそうなんだけど、モゴモゴモゴ・・・」と歯切れが悪い感じがします。

アメリカ在住の40LOVEさんにこの文章の意味を尋ねたのですが、ご友人のEnglish nativeの方々も含めて一様に

“This whole sentence doesn’t make any sense(訳のわからない文章だ).” とお手上げ状態だったそうです。

それでもとりあえず文法に忠実に解釈すると上のような感じになります。私、最初は逆の意味に取っていましたが40LOVEさんに教えてもらって何とか解釈しました。

ごちゃごちゃと書いてありますが要は、

ちゃんと調整すっから心配スンナ(#゚Д゚)ゴルァ。

ということだと思います。ギメちゃん、もう少しわかりやすく書いて・・・。

そしてギメルストブは最後にこう書いています。

あなたの言い分は分かったが、私たちのロジックと意図も同様にわかってほしい。ご存じのとおり、伝統のあるスポーツで変化を起こすことのは常にチャレンジングなことである。

私たちの意図とは、選手の最終的な目標である「トーナメント優勝」を果たした者をきちんと優遇することであり、かつファンがテニスに関わる手助けをすることだ。

「あなたの言い分は分かった。」と書いていますが、はたして本当なのでしょうか?

とりあえず分かったとは書いていますが、どう分かったのかどこにも書いておらず、単に言っているだけに見えました。

「悪影響が及ぶことを避けるよう調整する」と具体的な内容に欠ける回答しかしていない上で自分の主張だけはきっちりしている、という印象を持ちました。

ファンから見て分かりやすくするというのは一見、もっともらしいようですが、下のカテゴリーが上のカテゴリーの半分のポイントというのは大雑把すぎる気がします。

分かりやすさを重視するあまり、公平さを失ってはしないでしょうか、大変心配です。

Tomも私と全く同じ意見のようです。そして彼はこう述べています。

私はゴルフファンでもあるが、ゴルフのランキングシステムについて細かいことは知らないし、知る必要も感じない。ただ単純にランキングが選手の実力を測る上で公平で正確であることを信頼しているだけだ。

ファンなんてそんなものではないでしょうか。ポイントを分かりやすくしたところで、どのくらいの割合のファンが配点表まで見るでしょうか。

このブログの読者さんはかなり細かく見そうですがwwww、Tomのゴルフのランキングに対するスタンスが、一般のテニスファンのスタンスに近いように思われます。

分かりやすくて公平・正確であるシステムが理想ですが、この2つは必ずしも比例しないような気がします。

優勝者を優遇するというのは思想の話だと思うので、私からは何とも言えませんが、以前も述べたように下から這い上がってくる選手にきちんとチャンスが与えられる仕組みだけは維持してほしいと思います。

6 件のコメント

  • FU優勝がCH大会の本戦WC、CH優勝がATP250の本戦WCみたいになって一つ下の大会が一つ上の大会のWC選手権のようになったりしてね。(いずれも準優勝は予選WC)
    下のランキング、特に出始めの若手がチャンスを失うようなシステムにならないことを祈ります。

      引用  返信

  • 10月27日のTomの記事が見てみたかった。
    確かにsuccessとaccomplishmentの意味がよくわからず、
    一瞬、投稿しようかと思いました。
    しかし、Tomのブログなぜか、ほとんどコメント0ですね。
    読者は何を思ってるんだろうか、読者は本当にいるのか!?
    それとも、Tomがコメント削除しまくっているとか?
    ギルメストブの説明、ふ~んという感じであんまりよくわかりませんでした。
    「分かりやすくて公平・正確であるシステムが理想」…そうですよね!
    どこか他で、デ杯にポイントがつくことになって、不利になる選手がいるのでは?という文章を読みました。
    マレー大丈夫かな。何か言いそうな気もします。
    話がそれましたが、ふだんは海外のブログまで見ないので、面白かったです。
    ポイント集計・分析もの同様、シリーズ化を希望します。
    次の配点表の記事を楽しみにしています。
    40LOVEさん、ありがとうございました。

      引用  返信

  • 私は今までスポーツ選手のランキングがどのように決められているのか知りませんでした。好きなテニスでさえ…。(-.-;)
    ただニュースなどでの報道で知る程度です。
    自分が観れる試合が良い試合であればいい。ただ、それだけでした。
    プロスポーツの世界はとても厳しい100位に上がるのも大変だしランクを保つのも大変なのもこのブログで勉強しています。

    ランキングについては今までの事もよくわかっていないけど皆に公平であってほしいです。

    netdash団長さんの数字分析&グラフ素晴らしい自分では分からない事が良くわかった気になります。本当に理解してるかは不明ですが(T_T)

    =てんてん=

      引用  返信

  • BBCのテニス掲示板の新ランキング制度に関するスレッドも興味深かったのでご参考までにお知らせします。
    http://www.bbc.co.uk/dna/606/A42879937

    Match Tough 10月27日の記事は私もお気に入りに入れただけで保存していませんでした…。

      引用  返信

  • >ちゃんと調整すっから心配スンナ(#゚Д゚)ゴルァ。

    コーヒー噴きました。
    ギメちゃんの文章確かに分かり辛いっすね~、書いてるうちに本人も何書いてるかわかんなくなってしまったんじゃないんすかね。

    この問題長引きそうだ

      引用  返信

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。