Number 729号 錦織圭スペシャルインタビュー「今、自分と戦ってます」

Sports Graphic Number 729号(2009年6月4日号)に、6ページにわたって錦織圭のスペシャルインタビューが掲載されています。

「今、自分と戦ってます」と題したこのインタビューは全仏欠場の判断を下す前に行われたもので、

「今は、ひじをしっかり治すことが先決だと思います。それで全仏に出られないなら、それはそれでしょうがない。まだ先が長いわけですし。目の前のことよりも、長い日で見たら、この欠場がいい方向に進むと信じたいですね」

という父・清志さんの談話も紹介されています。
さすが圭パパ、いつも冷静で浮足立ったところが全くない。

記事は一貫して錦織の葛藤を描写しています。怪我のリハビリのことはもちろん、ランキングのこと、プレースタイルのことについても語られています。

怪我については、痛みよりも練習が満足にできず、試合で自信が湧いてこないことの方が苦しかったようです。全豪のときにもそのようなコメントをしていましたね。

1年経ったらポイントが消えてしまうランキングシステムが2月に錦織のランキングを急降下させたことは記憶に新しいところですが、錦織はそのポイント(昨年のデルレイビーチ優勝の360ポイント)が消える時期を1週間勘違いしていて、心の準備をしていない状態で90位台に落ちたランキングを見つけてショックを受けたそうです。

ケイメヒコさんのランキング試算をチェックしていさえすればショックを受けずにすんだのにwww

錦織のように100位前後に位置する選手の立場は微妙です。ツアー(ATP250以上のいわゆるグランプリ大会)に参加すれば予選からの出場を余儀なくされることが多いし、チャレンジャーに出ればポイントを稼げるかもしれないが、「そのレベルのプレーに染まってしまう(原文まま)」。

負けが込んだときはチャレンジャーに出たいと思うこともあるが、それでも結局はツアーに挑戦することが目標を達成するためには必要だと感じているようです。

世間ではツアーに出るのが当然のように思われ始めている錦織ですが、厳しい位置にいることは間違いありません。

プレースタイルについては「やりたいプレーと勝つプレーが違うので、今、自分と戦っています。」とのこと。

ここで「今、自分と戦ってます」という言葉が出てきます。

バンバン打って、エースを取って、あり得ないところから打って入れるプレーが「やりたいプレー」、安定した山なりのボールを使ってミスを減らすプレーが「勝つプレー」。

「やりたいプレー」はまさに錦織のテニスの魅力そのもので、今、「勝つプレー」に徹してしまうとその持ち味も損なわれてしまうような気がします。

「やりたいプレー」か「勝つプレー」かの二者択一ではなく、この2つがうまく融合されたときが錦織テニスが完成するときなのでしょうね。

確かに私が見ていても

「おいおいそこまで打つか」
「もう少しつないでくれー!」

と思うことがありますw

しかしそれで打ち切って勝ってしまうのが錦織テニス(例:デルレイビーチSFクエリー戦)。

そこにしびれるぅ!あこがれるぅ!なのでであります。

そこにシビれる!あこがれるゥ!
(『ジョジョの奇妙な冒険』より)

Numberのこのインタビュー記事、どでかい写真が2ページ以上占めていて分量はそれほど多くありません(写真入れて6ページ)が、お勧めです。

7 件のコメント

  • netdashさんこんにちは

    2度目の投稿になります。いつも楽しく読ませております。
    前の記事になりますが、netdashさんの日記を見て私も「翔べ、錦織圭」を購入しました。

    購入動機は「我が子を第2の錦織君にさせたい」という邪なものですがww

    ご両親は圭君のことをいつも考えてましたね。
    両親の教育がしっかりとされていて、また愛を持って育てられたんだととても感心しました。

    ところで、錦織君のお父さんはファミリーボックスでの観戦をしたくないと書いてありましたが、netdashさんが入ってもいいんじゃないの?って、勝手に思いました 笑

    怪我が長引いてしまい非常に残念ですが、一回りも二回りも大きくなって帰ってきてほしいです。

      引用  返信

  • 圭君は(ほかの人も)なぜハードヒットするのでしょうか?
    持ち球だから?
    仕掛けていくため?
    構えられればハードヒット?
    いつつなぐの?
    プロはハードヒット、アマチュアはつなぎがメイン?
    だんちょ、今度分析おねがいしま~す。

      引用  返信

  • ピュアドラさん、2度目のコメントありがとうございます。
    「わが子を第2の錦織圭に」、いえいえ、邪だなんて。
    それを実行する人が増えれば第2の錦織圭が出現する可能性が高まります。
    ぜひ息子さんをプロにしてください!

    reikoさん

    ネタ提供ありがとう!
    難しいお題ですがこんどやってみましょう。
    忘れてるようだったら催促してください。

      引用  返信

  • numberがこっちでも買えたので読みました。
    私も自分がやりたいテニス、勝つためのテニス、という所でふと考えました。攻めるプレーは積極的、勝つためのプレーは消極的で保守的だと圭くんは思っているようですね。でも対戦相手のプレーヤーが、攻め方のパターンやコースの取り方をしっかり研究して圭くん対策を準備をし
    試合に臨んでこられたら、打って打って打ちまくって攻めるつもりが、相手の思惑のワナにはまってしまい、圭くんらしいプレーをまったくさせてもらえない可能性もあります。
    鼻血さんのおっしゃるとおり、攻めるという一つのパターンだけではなく、ここの場面ではミスが大きく響くと不利だからリスクが少ない方法でしのごう、というように
    保守的な安全策をとる方法も自分のテニスの一部分として
    2つのパターンを組み合わせるとかなりテニスの幅が広がり、より複雑になり、対戦相手は、いったい何を考えてるのかわかんないなぁどうすればいいんだろ、とかなり惑わせることが出来るのではないでしょうか?
    思いっきりのびのびと自分の好きなやり方で楽しくテニスがしたい気持ちと、プロだから勝たなければ意味がない、成績もランクも全部数字だけで判断されるという現実のあいだで、心が揺れ動いていて、なんとか自分で納得して心の持ち方を決めたいという気持ちなのかなと思いました。
    本当に今まで19年間生きてきた中で最も大きな壁を自分の力で一生懸命乗り越えていく時が今、まさにおとずれたということではないでしょうか?
    ケガをして大変な思いをしていますが、心の中でも戦っているんでしょうね。
    精神的に苦しみながら19歳の圭くんはグングン成長しています!
    きっと体力的にも精神的にもたくましくなって、
    もっともっと強くなって、コートに戻ってきてくれるでしょう!

      引用  返信

  • 錦織選手は理想的な親子の距離感を保っていると思いますね。
    こういうご両親に恵まれたことは幸せでしょう。
    最近禁固刑に処されたドキッチの父親のように、スポーツ選手の親にはおかしなの人が少なくないだけに。
    冷静で現実的な感覚を持ちながら暖かい視線で見守るという
    お父様の姿勢はファンも見習うべきだと思います。

    reikoさまの質問は分析好きな方としては垂涎の話題ですね。
    ですので、鼻血さまにお任せします。
    ちょっとだけ言えばハードヒットが好きな人≒バコラーも
    粘るのが好きな人≒シコラーも感性とか性格です。
    年を重ねても衝撃的な試合で悟りを開かない限り、こういうとこはまず変わんないと思います。

    錦織選手は内気な性格、派手なプレーをごく自然な顔で、意外と客を意識して繰り出すあたりはサンプラスっぽいなと思いました。
    左右に振られるとつなぐよりはリスキーカウンターしたがるところも。

      引用  返信

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。