テニスではサービスゲームを高確率でキープすることが、勝利への近道となります。
サービスゲームを取れるという自信があればリターンゲームでも余裕が出ますし、逆にサービスゲームに不安があればリターンゲームでプレッシャーがかかるでしょう。
サービスゲームを取るためには、まず1stサーブを高い確率で入れることが必要になりますが、かといって「ただ」入れに行くサーブではポイントは取れないでしょう。
すなわち、
- 1st Serve % (1stサーブが入る確率)
- 1st Serve Points Won (1stサーブが入ったときにポイントが取れる確率)
のバランスが重要です。1stサーブが100%入っても20%しかポイントが来なかったら、確率を多少犠牲にしてももう少し良いサーブを打つ必要がありますし、入れば100%近くポイントが取れるビッグサーブでも、20%しか入らなければレシーバーの脅威にはなりません。
例えば1st Serve %が60%で、1st Serve Points Wonが80%だとすると、この2つを掛けて、1stサーブからポイントを取る確率は48%となります。
そして、例えば2nd Serve %が90%で、2nd Serve Points Wonが50%だとすると、「1stサーブが入らない」という条件付きですので、2ndサーブからポイントを取る確率は
(100%-60%)×90%×50%=18%
です。
2つを合わせた66%が、この選手のサービスゲームにおけるポイント獲得率になります(そして対戦相手は34%のポイント獲得率になります。)
ちなみにこの場合、ダブルフォルトをする確率は40%×10%=4%です。このくらいだと、平均的には1セットあたり1,2本ダブルフォルトする計算です。
さて、この66%のポイント獲得率を持つサーバーが、サービスゲームをキープする確率はどのくらいでしょうか。計算過程は省略しますが、
ラブゲームでキープ: 19.0%
1ポイント落としてキープ: 25.8%
2ポイント落としてキープ: 21.9%
デュースになって取る確率(計算省略): 17.9%
計 84.6%
このくらいのキープ率があれば、サービスゲームはかなり安心してプレーできると思います。しかし、プロならともかく、1st Seve Points Wonが80%というのは、一般プレーヤーにとっては結構高いハードルです。
さらに、キープ率が約85%といっても、平均的には約6ゲームに1回はブレークされることになりますので、相手サーブを2回ブレイクすることが目標になります。
参考までに世界一のビッグサーバー、カルロビッチ大先生のスタッツを見てみましょう(2009年11月4日現在)。
1st Serve %: 67%
1st Serve Points Won: 85%
2nd Serve Points Won: 54%
Service Game Won: 92%
さすがのキープ率、92%を記録しています。12ゲームに1回しかブレイクされない計算です。
2nd Serve Points Wonの54%はそれほど高くありませんが、1st Serve Points Wonの85%がダントツの1位なので、このキープ率になりました。
しかしながら大先生の場合はリターンゲームが問題です。ブレイク率は規定試合数到達選手の中で最下位の52位、11%しかありません・・・。大先生の試合がタイブレークだらけなのは、ここに原因があります。キープできてもブレイクできないのです。
自分が92%キープしても相手も89%キープしますからね・・・。
大先生はおそらく、ハナから全セット、タイブレークするつもりで試合に臨んでいると思いますw タイブレークの短期決戦でフェデラーに勝つ可能性も秘めながら(実際ありました)、無名選手にも負ける可能性がある刹那的な選手、それがカルロビッチ大先生です。
対戦相手はテニスした気にならないでしょうね・・・。
記事を更新してから、この例が適切でないことに気づきました。
1st Serve Points Wonが80%以上の選手が、プロでも2人しかいないのです。
かといって数字を変えるのはしんどいので、とりあえずこのままにしておきます・・・。
1st Serve Points Wonは72%くらい、2nd Serve Points Wonは60%くらいがトップ50の中央値のようです。
netdash引用 返信
プロでも1stサーブが入らないと苦しいゲーム展開になってしましますよね。サーブは大事だと分かっていつつも特殊でビギナーにとっては難易度が高いショットなのでどうも苦手意識が...。
ゲーム形式の練習で選択権を取ったときに迷わず「レシーブ!!」と叫んでいる場合じゃないですね。積極的にサーブを練習しなくては...。
C太郎引用 返信
C太郎さん、「レシーブ」って言わないで「リターン」って言えば
リターンゲームも積極的にいけるかも??
「レシーブ」ってなんとなく受身的なイメージがありますよね。
あと「サービスキープ!」って言ってみるとかw
reiko引用 返信
reikoさん「リターン」いいですねぇ。スマートな響きも。使わせて頂きます!
「サービスキープ」は「は?どっちなの?」って聞き返されそうな気がするのでキープしときます。
でもやはり選択権を取ったときは「もちろんサーブで」と即答できるようにサーブの練習もしっかりしときます!
C太郎引用 返信
サービスゲームの確率について調べていたら このサイトにたどりつきました。
ラブゲームキープの確率は0.66×0.66×0.66×0.66=18.9%
では1ポイント落としてキープする確率、2ポイント落としてキープする確率、デュースになってキープする確率の算出式を教えて頂けませんか?
funkydragon引用 返信
手短にお答えします。
1ポイント落としてキープするのは ×○○○○、○×○○○、○○×○○、○○○×○の4パターンです。
それぞれが0.34×0.66×0.66×0.66×0.66ですので、その4倍の確率です。
つまり0.34*0.66*0.66*0.66*0.66*4=0.248です。
同様に2ポイント落としてキープするパターンは××○○○○をはじめ、計10パターンあります。
従って0.34*0.34*0.66*0.66*0.66*0.66*10=0.219です。
デュースになってから取るのは少し難しくて、まずデュースになる確率を求めます。
×××○○○含め20パターンありますので、0.34*0.34*0.34*0.66*0.66*0.66*20=0.226
ここから、2ポイント連続で取る確率は0.66*0.66
1ポイントずつ取る確率は0.34*0.66*2です(○×と×○の2パターン)。
つまり、デュース(1回目)になってからその後2ポイント取る確率 0.226*0.66*0.66 ・・・(1)
2回目のデュースになる確率 0.226*0.34*0.66*2
2回目のデュースになってからその後2ポイント取る確率 0.226*0.34*0.66*2*0.66*0.66 ・・・(2)
という風に、永遠に続いて行きますので、(1)や(2)のような計算を、3回めのデュース以降も延々と足して行きます。
等比級数の公式を用います。
ちょっとこのスペースで説明するのは難しいので考え方だけ記しておきます。
いかがでしょうか。
netdash引用 返信
netdashさん ありがとうございました。EXCELで作表してみます。
funkydragon引用 返信