センターからでもちゃんと角度は付きます(テニスの物理6)

良く言われること。

コーナーには有効なショットを打てれば良いが、追いつかれてしまうと角度をつけて返されてしまう。

センターに打っておけば、相手は角度を付けて返球できないので守りやすい。

果たしてそうでしょうか?( ̄ー ̄)ニヤリ

図に書いてみましょう。

図1 相手コートベースラインの両コーナーに、センター及びコーナーから打った場合の角度

角度はほとんど変わりませんね。むしろセンターから打った場合の方が広角です。

「角度が付く」という表現は、「サイドラインに対する角度」という意味で使われることが多いように思います。

そういう意味では確かに、コーナーから打った方が(19.03°)、センターから打ったとき(19.57°の半分で9.78°)よりも角度が付いています。

しかしプレーする上でより重要なのは、図1のような「打てる範囲の角度」です。その意味ではイメージと逆、センターから打つ方が有利となっています。

ところで図1を見て、

「十分な態勢で打つ場合はもう少し角度付けれるんじゃない?」

と思う方もいらっしゃることでしょう。

そんな方のために図2を用意しました。

図2 相手側サービスエリアの両コーナーに、センター及びコーナーから打った場合

図1よりさらに角度を広げて、相手側サービスエリアの両コーナー目がけて打った状況を図示してみました。

本日、実際にプレーして試してみましたが、ボールが入る確率はともかく、このような角度で打つこと自体はいずれの軌道についても可能であることを確認しました。

この場合も、やはりセンターから打った方が広角に打てることが分かります。しかも、コーナーから打った場合と比べての角度差が図1と比較して拡大しています。

どうやら、センターから打った方が、少なくとも打てる角度範囲という意味では有利なようです。

人が言う「センターからは角度がつかない」というのは「二次情報」です。
確かな情報ソースが示されない限り、情報の信憑性が完全には担保されていません。

二次情報でも、新聞、雑誌他メディアに掲載された情報は、例えば個人のブログなどに書かれた情報よりは信頼でき、多くの場合はそのまま信じても大丈夫でしょう。裏付けは取れているが単に情報ソースを明記していないだけという場合もあります。

しかし二次情報は二次情報です。その情報が誤りである可能性はゼロではありません。そして誤りであったとしても、「●●に載っていた情報だから」ということで無条件に信頼され、誤ったまま広まってしまうこともあります。

それに対して、自分でこうやって図に書いて確かめたことは「一次情報」であり、どんなえらい人が何と言おうと、揺るぎない事実であります。

すべてのことに対してこうやっていちいち確かめることは不可能ですが、重要なこと、興味のあることについてはなるべく確かめる習慣をつけたいところですね。

めでたし、めでたし^^

しかし!

これだけで、「シングルスではセンターに打ってはいけない」と結論付けるのは、実はまだ早すぎます。

現象はそれほど簡単ではないのです。

確かに、センターから打った方が角度を「付けれます」。それは事実です。

(まあ、ショートクロスが超得意な人は図2よりもさらに角度をつけて打てるかもしれませんが、一般的な話をしているのでそういうケースは除きます。)

しかし、これまでの議論では「ボールの入りやすさ」や「飛んでいくボールの質」、「ポジショニング」が考慮されていません。

これらを考慮すると、結論が変わってくる可能性があります。

それについては、また次回ということで。

7 件のコメント

  • 非常に興味深く読ませていただきました。

    個人的にはフォア(右利き)のクロスのショートクロスが得意かつ好きなのですが
    センターからきついところを狙っていくとネットにかけることが多く、
    相手にバックのストレートを打たして、フォアのショートクロスを狙うパターンを試合では使ってます。
    つーわけで、ネットの高さが考慮されていないのがちょっと気になりました。
    浅い球を打つときは、ネットのどこを越えるようにするかも、
    確率を考える上でかなり重要なファクターだと思うのですが、いかがでしょうか。

      引用  返信

  • rigさん、コメントありがとうございます。
    その通りです。それが次の記事のネタですw
    先に言わないで~^^

      引用  返信

  • クルム伊達、新鋭リシツキに6-7, 6-2, 5-7で惜敗。おしい・・・。
    しかしツアーの壁は厚い。
    今回も予選を突破するなど、活躍しているのだが・・・。

      引用  返信

  • 角度の点では納得しましたが、距離の考えが入っていないと思います。通常相手がコーナーから打つ場合はストレートの方が距離が短いので、打たれてから走ると返球が厳しいため、若干ストレート側に寄って待ちます。そのため、クロスサイドがオープンになり、相手がクロスにワイドに攻めることができます。実際に広角度に攻められるかは、コーナーからコーナーへの角度ではなく、相手選手の立ち位置に対して、どれくらい角度を付けられるかではないでしょうか?

      引用  返信

  • strokerさん、コメントありがとうございます。
    これもおっしゃる通りです。

    そういう意味で記事中に

    「しかし、これまでの議論では「ボールの入りやすさ」や「飛んでいくボールの質」、「ポジショニング」が考慮されていません。」

    と書いておりますので、次回記事に書く予定ですので、期待してお待ちください。
    すでに作図は完成しております^^

    ここの読者レベル高すぎw ネタばれ勘弁www

      引用  返信

  • センターセオリーってnetdashする時、センターにアプローチ
    すれば相手から角度のあるパスが来づらいっていうイメージが
    あったのですが、そのケースの検証ももちろん次回のネタに
    入ってますよね?w

      引用  返信

  • 入ってますけど、分量的に次々回のネタですね。

    今回の記事は、角度にしか着目していません。

    ネタばらししちゃうと、センターに打つ有効性というものはあるのですが、「相手の角度がつかないから有効」というわけではない、というのが本記事の主張なんですね。

      引用  返信

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。