前回の続きです。
センターから打つ場合とコーナーから打つ場合で角度の付き方を比較し、センターからでもちゃんと角度がつくことを確認しました。
前回記事の図2を再掲します。
前回記事図2(再掲) センター及びコーナーから相手サービスエリアコーナーに打ったときの角度
ご覧のように、左右の角度としては意外なことにセンターから打った方が付きます。
このことから、
「センターに打っておけば、相手は角度を付けれないから安心」
という論理は間違いであることが分かります。
しかし、これだけでは「センターに打つのは間違い」と言い切るには不十分で、「ボールの入りやすさ」や「飛んでいくボールの質」、「ポジショニング」が考慮されていません。
というところまでが前回の話でした。
前回の記事はあくまで、「角度」と言ったときについつい「サイドラインとの角度」のことを思い浮かべてしまうけど、実際は「打てる角度範囲」が重要であること、そして「センターからは広角に打てない」ということが先入観であることを示すために書かれたものでして、センターにボールを送ることの有効性を否定するものではないことにご注意ください。
有効性については、今回から数回にわけて論じたいと思います。
以下、前回の続きの考察その1。
ネットの高さとボールの飛距離を考慮する
ネットの高さはセンターが低く、両サイドが高くなっています。図1はシングルスの場合のネットの寸法です。
図1 ネットの寸法
従ってセンター付近を通過するボールはネットの低いところを通ることになり、サイド付近を通過するボールはネットの高いところを通ることになります。
また、ボールの着地点が同じでも、コートのどの地点から打ったかによって飛距離は異なります。
この2つのポイントを踏まえて、相手サービスエリアのコーナー目がけて自陣のベースライン上の、
(1)コーナーから打った場合
(2)センターから打った場合
を図2で比べてみましょう。
図2 相手サービスエリアのコーナー目がけて、ベースライン上のセンター及びコーナーから打った場合の飛距離とネットの高さ
(1)コーナーから 飛距離20.05m ネットの高さ95.3cm
(2)センターから 飛距離18.75m ネットの高さ99.8cm
御覧のように、センターから打った場合はコーナーから打った場合と比較して、4cm高いネットの上を通過させた上で、距離にして1.3mも短く着地させないとボールがコートに入ってくれないということが分かります。
これは結構大きな差です。
スピードの遅いボールを打てば問題ありませんが、速いボールでこの場所を攻めようと思ったら、センターから打つ場合には精度が必要となります。
強いスピンをかけることができる選手は比較的、センターからでも攻撃的にサイドへ打つことができますが、あまりスピンをかけない選手に対してはセンターへの配球が効果的になることが考えられます。
次回に続きます。
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