ナダル戦感想(2011マイアミ2回戦)

ずいぶん遅くなりまして申し訳ありませんが、ナダル戦のレビューを書かせていただきます。

2011 Miami Masters 1000
2nd Round
Rafael Nadal def. Kei Nishikori, 6-4,6-4

勝負という意味では両セットともにきっちり1ゲームずつブレイクしたナダルの実力勝ちという試合でしたが、錦織のプレー内容はかなり良かったと思います。

アグレッシブな姿勢が目立ち、躍動感のあるプレーだったと思います。

特にフォアハンドの高い打点からの強打の安定度がこれまでと違っていました。ナダルからエースを奪う場面もしばしば見られ、スコアを隠してラリーだけを見たら、どっちが勝っているか分からないくらいだったと思います。

打っても打ってもきっちり返してくるナダルに対しては、試合を通じてプレーのレベルを維持しなければなりませんが、どうしても多少のミスが出てしまう場面があり、ブレイクを許しました。

しかし弱気なミスという感じはなく、「全力を尽くしたが今一歩及ばなかった」という感じに見えました。1回戦も映像こそありませんがシャルディに7-6,6-2という強いスコアでしたし、プレー内容はかなり良くなってきているのではないでしょうか。

錦織も公式ブログでこう語っています。

負けてはしまいましたが内容は濃かったと思います。
今日はいつも通りにやっててはなかなかチャンスはないと思っていたので

かなりアグレッシブにプレーしました。

その結果相手を苦しめていたと思うし、自分の中でもここ最近1番のテニスができてました。

錦織圭公式サイト|KEINISHIKORI.COM

クレーコートシーズンがますます楽しみです。

サービスもずっと改良に取り組んでいる成果が徐々に見えつつあるように思います。昨年と比較したらラケットの担ぎ上げが少しコンパクトになり、全体的にタイミング早く捕らえるようになりました。

その結果、体が上昇しながら打つイメージになり(実際に上昇局面でインパクトを迎えているかは映像を解析してません)、サービスボールに順回転が加わることによってフラット系サーブの確率アップに貢献していると思います。

フラット系サーブには縦の回転はほとんどかかっていませんが、縦方向に対して「微妙に順回転」なのか「微妙に逆回転」なのかはのかはフラット系サーブの確率にかなり影響すると思っています(単なる自説なので参考程度に)。

フラット系サーブはスピードが速いので、どうしてもサービスエリアの深い位置に集まります。身長209cmのカルロビッチ大先生だったら浅い位置にだって200km/h以上のサーブをたたき込めるでしょうが、178cmの錦織が200km/hのサーブを打ったら物理的に浅いところには入らないと思われます。つまり、サービスライン付近にボールは集まるでしょう。

そのような状況で「微妙に縦回転」の場合と「微妙に逆回転」の場合の差が、着弾地点にして例えば5cmとか10cmのわずかな差だったとしても、「全部ちょっとずつフォルト」が「全部ギリギリイン」に変わることの効果は非常に大きいと思います。

錦織とナダルのプレーの相性

私は結構良いのではないか?と思います。錦織のフォアハンドの厚いグリップはある程度のバウンドの高さがあった方がやりやすいですし、マイアミの遅めのハードコートという条件は錦織にとってベストに近いコンディションではなかったかと思います。

ナダルのフォアは強烈なスピンが掛かっているためバウンド後の勢いはすごいですが、滞空時間の面ではフラット系ショットよりも長くなりますので、フォアハンドで溜めが作れます。そのせいか、錦織は思い切ってフォアを打てていたように見えました。

瞬発的な動きも素晴らしく、インディアンウェルズ後、IMGでのトレーニングでフィジカルも強化してきたことが伺えました。

今後、同条件でまたナダルと当たるようなことがあれば、結構チャンスだと思います。すでに3度も対戦してある程度の情報はインプットされているはずで、ナダルとやるときに変なプレッシャーはないと思います。

しかしナダルとの相性が仮に良かったとしても、ナダルのプレーレベル自体がものすごく高いですから・・・良い条件が揃っても勝つことは容易ではないでしょう。

添田豪がチャレンジャー優勝、トップ100に日本人が2人に

先週の平果チャレンジャー(中国)で優勝した添田豪のポイントが584ポイントになり、来週発表のランキングでトップ100入りすることが確実となりました!そして全仏のダイレクトインも確実です。

トップ100に日本人が2人もいる時代・・・これは数年前には想像すらできなかったことです。長年のテニスファンとしては感慨無量。震災後、ずっと暗い気持ちで毎日を過ごしていましたが、このニュースには嬉しい気持ちが心の底から湧いてきました。

これがどれほどすごいことか・・・多分テニスファン以外には伝わらないんだろうな・・・。でもこのブログの読者の方なら分かっていただけるでしょう。特にオールドファンのあの方やあの方やあの方やあの方などはw

トップ100に日本人が2人いるのは史上初めてではないか?と思っていましたが、コリコリさんのコメントによると36年前に神和住純と九鬼潤の「ダブルJun」が同時にトップ100入りしたことがあったそうですね。これもまた驚きです。

26歳でのトップ100入りは決して早くはありませんでしたが、その代わり毎年着実に成績が上昇してきており、確かな実力を付けてきていると思います。これからATPツアーレベルでの参戦が増えてくると思いますが、そこで強い選手と試合する機会が増えればさらにレベルアップできるのではないかと思います。とにかく全仏にダイレクトインできるということが本当に大きく、好影響を及ぼすと思われます。

錦織と2人でランキングを競い合ってほしいです。

30 件のコメント

  • ナダル戦は本当に見応えのある内容でしたね。ク
    本当に見応えのある試合でしたね。
    クレーでの活躍を否が応でも期待してしまいます。
    Top100に日本人2人も嬉しいニュースです。
    錦織VS添田の真剣勝負を観れる日も来るのでしょうかね。
    極小ですが可能性はありますので…Tournamentでの潰し合いは勿体無いですけど。

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  •  ナダル戦の圭、確かに良かったですね。
     私が普段より明らかに良かったと思うショットは以下の通り
    です。

    ①フォアのクロス
    ②フラット系の1stサーブ
    ③相手1stサーブに対するリターン
    ④バックのフラット系ショット

     特に①については、深さ、角度、カウンターの鋭さ、ミスの
    少なさのどれをとっても最近までの圭とは別人のように良かったと
    思います。

     団長さんが仰るようなコートサーフェースとの相性もあるので
    しょうが、「フォアが実質的な弱点」だった状態からは一皮も二皮
    も剥けたと言って良いのではないでしょうか?

     個人的は、ギルバード氏に何を言われようが、やはり圭には今回
    のナダル戦のように攻めまくってもらいたいです。

     圭には今よりもこれからの伸び代の方が重要なはずですし、それ
    が圭のテニスの最大の魅力ですから・・・

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  • たねまるです。ええ、おーるどふぁんのアノ方の一人ですw
    だんちょにあぶりだされましたw
    神和住さんと九鬼さんかぁ・・・ウッドラケットの時代が懐かしい。
    おーるどふぁんとしては100位以内に日本人プレーヤー2人は
    夢のような奇跡・・・に近いモノだっただけに
    感慨深いものがあります。
    添田選手おめでとうございます!そして有難う御座います!!
    そして竜馬選手や杉田選手、内山選手達若手も続いて欲しいです。
    もちろん、昨夜のキング・カズのようにベテランの貴男選手も
    まだまだ老け込まずに頑張って欲しいと願っております!!
    がんばれニッポン! ついでにガンバレだんちょ!w(舌ぺろ)

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  • 坂本ヒデさんTweetによると錦織は火曜からすでにクレーでの練習を開始しているそうです。2月中は「Indian WellsとMiamiの後じゃHoustonなんてまだまだ先だな〜」と思ってましたが、もう1週間を切ってますね! Houstonから全仏までのクレーシーズン、錦織には存分に暴れまくって欲しいと思います。4月は30点、5月は160点、全仏では45点もの失効がありますしね。今年は上の合計235点をどうカバーして行くのか!? 18大会枠もあって結構複雑ですが、とにかく頑張れ〜〜!!

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  •  団長さんの、コメント 首長で、待ってました!!

     堪能いたしました。 有難うございます。

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  • 種丸師匠に、書きたい事をほとんど、
    書いていただいた感があります。
    懐かしい、ウッドラケットと白いボール。

    本当に、これからどんどん若手が伸びて、
    TOP100に、ぞろぞろ日本男子がいるという
    夢のような時代を、見せてもらいたいものです。

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  • みけさん
    記事さっそく読みました。ありがとうございます。
    このナダル戦がきっかけとなって一気にランクアップして欲しいですね。

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  • 神和住さんに九鬼さん! 懐かしい世代。

    木のラケットもですが、そういえばボールって白だった・・・
    いつから黄色くなっちゃったのかしらw

    スポルティーバの記事、ありがとうございます。

    圭くん初め、若い選手がどんどん強くなってくれたら
    うれしいですね。

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  • 全然関係ない話で恐縮ですが・・

    ヒューストンでランキング28位のChelaがリタイアとの話が・・・

    とすると
    二度目のシードでしょうか

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  •  sukisukiさん、情報提供ありがとうございます。
     私もMTFでChelaリタイアのコメントは読んでいたのですが、
    圭よりも上位の選手ではないと思い込んでおり、全くケアしていま
    せんでした。

     sukisukiさんご指摘のように、現時点でのヒューストンエント
    リーリストの上位8人は以下のようになっており、残り1枠のWC
    に上位選手が招聘されない限り、圭に2回目のシードが付くことに
    なります
    (SE枠は現時点で対象者0)

    1 Fish, Mardy USA 15
    2 Querrey, Sam USA 21
    3 Garcia-Lopez, Guillermo ESP 26
    4 Isner, John USA 33
    5 Anderson, Kevin RSA 40
    6 Istomin, Denis UZB 54
    7 Becker, Benjamin GER 58
    8 Nishikori, Kei JPN 62
    ———————————-
    26 (WC)Blake, James USA 173
    27 (WC)Harrison, Ryan USA 130
    28 (WC)?

     まだ確定ではないので喜べませんが、可能性としてはかなり高く
    なった
    と言って良いと思います。

     今後のWC獲得選手情報に注目しましょう。

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  • シード順ではBeckerの上に行きます。で、確定で良いでしょう。

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  •  ん? シード設定は3/28、即ち現RKで決定されるはずです。

     67位のCuevasの上にはいきますが、58位のBeckerよりは下に
    なると思いますが・・・

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  • まさか、ロディックがWCで参戦なんてことはないですよね・・・

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  • GEOさんご紹介のダイジェスト版見ました。
    すごいです。
    ラファだから勝てなかった。
    逆に言えば、ラファ以外の誰にでも勝てたんじゃないの?
    っていうくらいに思いました。私的には。

    たしか圭君、怪我する前ラファとの初対戦あたりから
    すごい絶好調になって、これは一気にトップテンも夢じゃない
    っていう時期があった気がするんですけど。

    怪我に気をつけてがんばってもらいたいです。

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  •  ロディックかどうかは分かりませんが、マイアミでベスト4
    まで進んだフィッシュが離脱した場合には、代わりになり得る
    目玉選手を引っ張ってくる可能性があると思います。

     ただ、この場合でも、圭は第8シードキープです。
     ナイスキープ!

      引用  返信

  • こんにちは。

    大阪へ向かう新幹線からです。

    そのフィッシュですが、ロディックを抜いてアメリカ人最高ランカーになることが確定したそうです。
    ロディックはいま気管支炎に苦しんでいるようですので、WCというのはやや厳しいんじゃないかと思います。

    あと4人OUTしませんかね…しませんね(笑)

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  • フィッシュが離脱してしまうと、ちょっとさびしい大会になってしまいますね。
    それでも今好調のアンダーソンやデバーマンなどもいて
    簡単に優勝というわけにはいかないでしょうけど。

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  • 全く関係ないんですが、
    GAORAで放送してる
    ATPマガジン #67
    に、マッサージされてる錦織が一瞬写りましたね!

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  • どんどん勝ち進んでほしいです。
    錦織選手はクレーコートが好きだとか以前言ってましたね!
    ラケットも新しい色のデザインになるそうですし、試合が待ち遠しいです。
    早く見たい〜!

      引用  返信

  • 愛国心がないせいか、頂点争いが予感できないせいか、正直言って圭君が登場するまで日本男子選手の100位以内進出についてこれまで意識していませんでした。
    松岡選手の試合には注目していましたが、2~3回戦以降の後半にはむしろ相手選手のテニスに注目していましたw
    余談ですが、福井選手のBHは正体が良く分かりませんでしたが、3年ほど前、イベントで打ち合ってもらったら凄い威力のBH!
    「ハイ、・・ハイ!」とか言いながら軽く打っているのですが、ボレーする手にズシンッ、バシンッ響いてきて驚きました。

    そんな私ですが、’83デ杯・対インド戦で神和住にたまに喝を入れられ、ビシビシ緊張している米沢の印象は深く、最近のJOではコロシアムより屋外の日本選手やダブルスを見に行ってます。
    鈴木・岩淵組の優勝も夜中まで見届けました。
    松井(JOで写真を撮らせてもらいましたが、嫁さんの高岸知代はキレイでしたw)・鈴木、伊藤とか岩見らのペアがマスターズで活躍するシーンなど見てみたいものです。
    添田選手はシングルスにおいて、あのパワーと精神力でこれからかなり期待できると思います。

    なお、ナダル戦の圭君は良かったですね。
    特にフォアの逆クロスとセンターへのフラットサービスが印象的でした。
    これでエッグ・ボール的スピンが安定すれば最高だと思います。
    ただ、ウイナー17本は良いのですが、U.E33本は課題ですね。
    でも、課題が判明した分、目標が明確になったと思います。
    圭君はあと2球、攻め玉を打ち続ける必要がありそうですね。
    ナダルのストロークの深さと、無理なく逆を突き続けるプレースメントにはさすがだと思わされました。

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  • Houstonの公式Twitter(@mensclaycourt)によると3枚目のWild cardはRyan Sweetingに与えられたとありました。これで錦織の第8シードが確定〜!

    錦織は高い球を打つのが大好きなので、クレーはかなり合ってるサーフェスなんじゃないかと思ってます。こないだのナダル戦みたいにやってくれればクレーシーズンは大いに期待できますね!

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  • 上位の選手のリタイア待ちということなく
    ストレートにシードとるくらいのランキングに
    早く行けるといいですね

      引用  返信

  •  Garcia-Lopezはクレー得意だし、Querreyは昨年準優勝かつ
    調子上向きなので、対抗のシードはIsnerかFishがいいな~

     シード選手以外で特に嫌な選手という観点では、Devvarman
    とDimitrov辺りでしょうか?

     久々のグランプリツアー優勝を狙いたいですね!

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。