錦織圭、セットを奪うも王者に突き放される(2015ローマ準々決勝)

2015 Rome (Masters 1000)
Quarterfinal
Novak Djokovic[1] def. Kei Nishikori[5], 3-6,6-3,1-6

昨年のツアーファイナル準決勝と似たようなスコアで敗れました。
連戦街道をひた走る王者ジョコビッチに負けることは仕方ありません。
あっさり負けだけは避けて欲しかったので、そういう意味では2ndセットを奪い見せ場を作ったので良かったと思います。
しかし1stセット、攻め球やチャンスボールでミスを連発したのはいただけなかった。

ジョコビッチも決して完璧な調子ではなかっただけに悔やまれます。
ミスの多さを除いても、プレーの幅としてまだジョコビッチの方が上回っているように思いました。
とにかくコースを丁寧に突いてくるし、下がった時のディフェンスも良く、打ち抜ける気がまったくしない。
2ndセットは錦織のサーブがよくなり、ストロークも振れてきていたのでそれがファイナルセットに持続しなかったことは残念。
いやそれを許さなかったのはさすが王者といったところでしょうか。

例え負けるとしても最後まで食らいついていって欲しかったところですが、ストロークミスであっという間に先行されたり、最後のゲームは1本もリターンが返らなかったり、トーンダウンしたまま終わってしまいました。

一方で自分の本来のテニスさえできれば十分通用する(が、それを試合を通じては実行できなかった)という手応えも感じることができたと思うので、収穫もあったことと思います。

錦織の前へ出て行くテニス、速い展開のテニスは大きな武器ではありますが、クレーではそればかりでは難しいと思います。バウンドの変化があるし、決まりにくいので攻め重視のスタイルはリスクも高まります。相手のディフェンス力が高い場合は、ワンテンポ貯めて、その代わりしっかり深くコントロールされた威力のある球を打つという選択肢も混ぜた方がよさそうです。ジョコビッチはそういうプレースタイルと、ベースライン付近から積極的に攻めるスタイルを上手く混ぜていました。

技術的にはバックのストレートに差を感じました。錦織のストレートは威力はあるのですが、ジョコビッチより内側に入ることが多かったです。またフラットなのでミスする確率も上がってしまいます。ジョコビッチはスピン系の球を深く、意表を突いたタイミングで打っていました。

ミスをするにしてももっと難しい球を打たされてのミス、あるいは拾われ続けてのミス(打つ回数が増えればミスの確率が増えるのは仕方ない)が多くなる展開を予想していましたが、難しくない攻め球のミスが多かったことは、相手がジョコビッチだから意識したのかもしれませんが、ジョコビッチのプレーによってミスをさせられたわけでは決してなかったので、非常にもったいなかったなと思います。

後はやっぱり足の状態でしょうか。プレーはできているので故障とまでは行かないまでも、痛みはあるでしょう。ただ、試合に出るからには言い訳にできません(そして本人のいつも、言い訳にしていません)。全仏まで1週間強ありますから、しっかり治して万全の態勢で臨んで欲しい・・・。

全仏の展望

バルセロナは優勝、マドリッドはマレーに敗退、ローマはジョコビッチに敗退。
ランキングなりの良い結果が出ていると思います。10位台までの選手には安定して勝つ力が備わってきました。
ただ、トップに食い込むという意味ではもう少し競るか、どちらかを勝って欲しかったというのも本音。全仏ではBIG4のちょっと下くらいの評価でいいと思います。好調なら倒す力はあると思います。
世界一を目指すという観点からは物足りなくても、経験を積んできてるし手応えも感じていることと思います。全仏の期間に入ったらまたツアーの雰囲気がガラッと変わりますよ。
直前の成績に関わらずシード選手にはオーラを感じるし、「やっぱりラファ」となる可能性も大いにあり得る・・・。
同じメンツで戦うとしても、マスターズシリーズとグランドスラムの間にはやはり見えない壁があります。
「持っている」選手はやはりグランドスラムで輝きます。錦織も、もちろん「持っている」うちのひとりだと思います。
ベスト4以上を期待したいです。

スタッツ分析

ウィナー/エラー

Set1
錦織 3本/16本
ジョコビッチ 7本/10本

錦織はウィナーに対し極端にエラーが多い。
一方でジョコビッチもウィナー数<エラー数で彼にしては決してよい調子ではないことが伺える。

Set2
錦織 8本/3本
ジョコビッチ 7本/4本

お互いにミスが減った。攻撃力も増し、良いセットだった。

Set3
錦織 7本/10本
ジョコビッチ 3本/4本

ジョコビッチがリスクの低いテニスでミスなくプレーしたことが伺える。
錦織は再びエラーが増えてしまった。疲れもあった。

リターン返球率

今回試しにリターン返球率なるものを計測してみましたが、これがまた有能でした。
リターン返球率と試合の流れがかなりリンクしていました。
錦織はひょっとしてリターン返球率が低いのではないかと思っていましたが、そうでもありませんでした。
(1stの確率が低い印象なのに実際は60%は確保しているのと同じような感覚かと)
ただ、ジョコビッチの方が率が高いし、勝負どころでは「極めて高い」率を出していました。

Set1
錦織 21/31=68%
ジョコビッチ 21/30=70%

両者近い数字。率自体も高め。ポイント数が多く、競った展開だが錦織が取りきれなかったことが伺える。

Set2
ジョコビッチ 14/26=54%
錦織 11/18=61%

錦織のサーブがよく、ジョコビッチの率を下げた。

Set3
錦織 11/22=50%
ジ 14/18=78%

錦織は率が落ち、ジョコビッチは上がった。特に中盤以降はほぼ全て返球していた。
錦織は最後のゲーム、0/4。

222 件のコメント

  • アトムさん、応援宜しくお願いしますヽ(^。^)ノどちらか一方というのが・・・決められないです(>_<)

    ebicciさん、情報ありがとうございます。Periscope見に行ったら、ディミとロジャーの練習とPlayers Partyも。多分24時間しか保存できないと思うので、半日位で消えちゃうかも?

    ツイッターを見たら、どうやらwebでも見れそうなので(但しライブのみ)フォローしてツイをチェックしておけば、PeriscopeをDLできなくても大丈夫ではないかなと思います(ホイヤーのイベントの時もPCで見れました。ただ、PCの環境によっては見れない可能性も?)

    ツイッターもFBも沢山写真がアップされていました。圭くんや豪くん、文平さんも!

      引用  返信

  • アトムさん、私に分身やらせてください(^-^)/ なんて… いずれにしてもGS初出場の瞬間を見守ってくださいね♪( 〃▽〃) 応援よろしくお願いいたします

    下団さん、まとめリンクありがとうございますm(__)m 電車の中で、爆笑を抑えるのに必死でした(^_^;)

      引用  返信

  • @みけ さん
    フォロー頂き、ありがとうございます。
    私が載せたリンク先は1か月前の情報でした。。。
    太蔵さん、錦織君との対戦でサービスエース決めてましたよね!

    帰宅の際も丸ビルの近くを通る予定なので、見に行ってこようと思います。
    凄い人だかりでしょうけれど・・・。

      引用  返信

  • こちらのスレではないかもしれませんが、よっしー第1セット奪取!! いけ~\(*⌒0⌒)b♪

      引用  返信

  • 西岡君、もう少しだ!
    太郎君も1セッタップ、良く穫った!!

      引用  返信

  • 西岡君、勝った~(TT)
    あの小さな体で本当にスゴいです。
    本戦はチャレンジャーとして思いっきり暴れて欲しい。

    太郎ちゃん、2ndセットは劣勢だけど粘って粘って!

      引用  返信

  • 仕事帰りに丸ビルに寄ってきました。
    写真も撮らせてもらえますよ〜。
    西岡やりましたね!

      引用  返信

  • 太郎頑張れ!

    現在7-5, 2-6, 1-1

    スタッツの数字上は相手が大半の項目で上回っているけど、クレーで育った太郎なら勝てるはず!
    まだまだこれから!

      引用  返信

  • 西岡の意気込み気合が ラケットを振り切って スコアーを もぎり取ったカタチ!やりました!素晴らしい!

      引用  返信

  • ドローですが恐らくこんな感じです。
    1Rと2Rは画面が不鮮明で良く見えませんでした・・
    早くPDF版が出ないかな。

    良いドローになったのでは?
    SF フェデラーorワウリンカ
    QF ベルディヒ
    4R フェリロペorアグー
    3R ベルダスコ

    しっかし、ジョコ山のQF対抗がナダルとは!

      引用  返信

  • 圭はBerdychと準々決勝、Federerと準決勝と上に進めば理想的なDrawですね。
    そこまでも大変そうですが。。。

      引用  返信

  • なかなかのドローですね!

    団長お忙しいでしょうけど、みんなで作る全仏の展望スレ立て待ってます!

      引用  返信

  • ヨッシーもタローも頑張った。おめでとう。
    ヨッシーの試合、6-2,6-1とスコアでは圧勝ですが、実際にはかなりせっていました。ジュースを繰り返すゲームがいくつも。ブレイクポイントも何回か握られたり、ブレイクポイントになってもジュースに戻されたり。でも、そのほとんどにおいて、ヨッシーはゲームを取っていました。彼の精神力は素晴らしい!
    タローは第2セットを取られても、慌てず、早いうちにブレイクし、常にゲームカウントでリードし、最後もブレイクで決めました。

      引用  返信

  • アトムさん、応援お疲れ様でしたm(__)m現地ならではの情報ありがとうございます(≧▽≦)オープン化以降では初?の日本男子による全仏予選突破の瞬間を見られて羨ましい(*´▽`*)本戦も楽しんでくださいね(^^)/

      引用  返信

  • アトムさん、現地レポ、ありがとうございますm(__)mm(__)m
    ヨッシーと写真、羨ましくて鼻血出そうです(^_^;)

    ヨッシーと太郎が予選突破、たつまと豪君が本戦DAと、何やら昨年の全米を彷彿とさせる展開に、“こいつは、本戦開始前から、縁起が良いわい”と、一人、鼻血が出かかっています(^_^;)

    圭以外の、1回戦勝利も見たいぞ~!!!(σ≧▽≦)σキャー
    みんな、がんばれー!!!ヽ( ̄▽ ̄)ノ

      引用  返信

  • アトムさん、現地レポートありがとうございます。
    太郎選手は第2セット焼かれそうな勢いだったので何かあったのかと心配でしたが取越し苦労でした。
    本戦の楽しみが増えてよかったですね。

    圭 大好き!さん
    今から鼻血を出していたらいくら輸血しても足りないんじゃw

      引用  返信

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。