錦織圭の頑張り報われず!しかしマレーとの差は詰めた!(2016WTFラウンドロビン第2戦)

2016 World Tour Finals
Round Robin
Andy Murray[1] def. Kei Nishikori[5], 6-7(9),6-4,6-4

いやーーーー熱戦でした。3セットマッチなのに3時間20分くらいやってました。
いろいろな要素が絡み合い、一言で言えません。
確実に言えることは、マレーも錦織もさらに強くなり、錦織が確実に差を詰めていること。
グランドスラムのQFで当たってストレートで吹っ飛ばされていた頃の力の差はありません。

錦織はドロップが甘く入ったり、連続DFをしたり、完璧なプレーではなかった。
それでいてこのスコア、この内容で王者を追い詰めたことは収穫です。
それだけに勝ちたかった。勝ちたかったですが、悪くない敗戦でした。

予想できるので先に書いておきますが、

・ブレイクポイントをなかなか取れない(11本中2本)。
・セットを取った直後の被ブレイク
・事なきを得たが、チャンスボールのスマッシュで、ミスや甘い球を出した。
・連続DF。
・ドロップショットを打つ場面の選択ミス、甘さ
・ファイナルセットの体力負け

など課題はあります。
でもそれを上回る、見所がありました。
また、錦織に注目しているとどうしてもミスが気になってしまいますが、客観的にマレーのプレーはやっぱり凄かったです。
なんであんなに取れるのか、あんなにピンチでサーブが入るのか、
疲れてもあれだけ動けるのか
まったく分かりません。

今日の試合は、今のATP最高峰のレベルでしたよ。

敗因は、普通に「実力差」です。
このくらいの「もったいなさ」は、ずっと錦織を見ていればあり得ると分かるはず。
一発で仕留める飛び道具を持たないプレースタイルである錦織は、どうしてもこのようなプレースタイルになってしまいます。
ある程度の「もったいなさ」は出しつつ、トータルで勝って行かなくてはなりません。

「もったいなさ」がもしなかったら、勝っていたと思える試合だったということはすごいことだと思いませんか?
相手はあのマレーです。世界No.1です。しかも上り調子のNo.1です。
マレーはどんな球も返してきました。それに対する錦織も、決してイージーなミスは連発しませんでした。
最終的にミスになったとしても、早いミスはあまりありませんでした。
何を打っても効果的に返してくるマレーに対し嫌気をささずにひたすらに打ち続けました。
このあたりは大きな進歩です。
また、

・リターンミスも少なかった。
・リターンの返球率が高かった。
・スマッシュは、ミスして以降は実はすごく良かった。
・バックのストレートをしっかり使っていた。
・ネットプレーで相手の時間を奪った。
・セカンドサーブアタックへの対処が落ち着いていた(マレーのリターンエースほとんどなし)
・デュースサイドからのワイドサーブ→フォアのストレートという「取れるポイントのパターン化」ができた。
・ファイナル1−5から4−5に戻したときの、最後の力を振り絞っての反撃(あきらめてない)
・タイブレークで驚異的な粘りを見せるマレーを振り切った
・ラリーは優位に進めた(ほんの少しだけミスを減らせば勝てると思える試合運び)。

などなど。
まだあるかもしれません。

ここへ来て、試合内容的にもジョコ、マレーを追いかけるのはやっぱり錦織ではないかという印象があります。
残念ながらバブリンカの方がGSで結果を出してるし、
チリッチはGSを取ったことがあるし、
ラオニッチにはポイントで負けてるし、
まあ僅差です。

僅差ですが、贔屓目を除いても錦織のテニスが(ジョコマレーを除いては)今、最もクオリティ高いのではないかと。
他の選手は飛び道具持っているので試合になれば錦織もこれから負けることもあるかと思いますが、平均的・長期的には勝ち越していけるのではないかと思っています。
(ただし体が健康な場合・・・)

これまで、いいところまでいい選手を倒して勝ち上がり、期待したものの次であっさり負けるということが多々あったかと思いますが、
今日がそういうパターンにならなかったことはやっぱり強くなっていると思います。

マレーと今年4試合して、うち3試合が死闘です。
BIG4に近づくための条件として、私はこれまで下記を掲げてきました。

・GS、Masters 1000、WTFでベスト4の常連になること
・例え負けるとしても、GS、Masters 1000、WTFで繰り返しBIG4と死闘を演じること

錦織の今年の目標の1つであったMasters 1000の優勝はお預けになりましたが、上記2つの目標は着実にクリアできてきていると思います。
今日の試合も錦織は活かすはずです。
というか、今日のような試合を経験したら、他の選手とやるときに余裕を感じれるはずです。

「あれ、これで決まるの?マレーは返してくるけど」

みたいな。

心配なのはやはり、体力の消耗。
それがなければチリッチに勝てる可能性は高いと言えると思いますが、次の試合が心配ではあります。
でも「ザ・ゲンキン」の錦織ですから、今年最後の大会で、負けたら今年は終わりってことになれば頑張ると思いますよ。
後のことあんまり考えなくてもいいですからね。

今日の鼻血はお預けでしたが、引き続き、楽しみです。

そして・・・決勝まで行って再びマレーと対戦してほしい!
大会前に楽しみにしていたように、同一大会で2回対戦するとき、錦織がどう修正してくるのかを見たい!
きっとすごいものが見れるはず!

165 件のコメント

  • @勝負所のプレー さん
    言いたいことが伝わりづらかったですかね?
    僕が一番言いたいのは、錦織選手は「SET anb BREAK POINT でのメンタルが弱すぎる」というのは間違ってませんか?ということです。
    確かに、昨日の試合だけ見れば、そう見えるかもしれません。
    しかし、今年1年トータルで見れば、上でのデータでも示した通り、ジョコビッチよりもブレイクポイント獲得率が高いのであって、ブレイクポイントでのメンタルは、決して弱いほうではありません(強い方とまでは言えませんが)。
    ちなみに、ATPはアンダープレッシャーレーティング、つまりプレッシャーがかかりやすい場面での総合成績も発表しており、今年の錦織選手は堂々の3位です。このことからも、錦織選手は勝負所でのメンタルが弱くない(むしろ強いとすら言える)ことが分かると思います。
    http://www.atpworldtour.com/en/stats/leaderboard?page=serve
    (リンク先の右側のUnder Pressure Leadersという所をクリックして下さい)

    それから、「何より、ジョコビッチもあまり良くないってのは何の言い訳にも希望にもならないよ。」というのはどうですかね?ジョコがあまり良くなくても世界1位になれているのだから、同じように良くない錦織も世界1位になれる可能性を示していませんか?要するに多少チャンスに弱くてもチャンス自体を量産してしまえば、結果的にチャンスを物にできる回数も多くなり勝てるんじゃないですか?

    あ、ちなみに、昨日の試合に限っての敗因分析、ということでしたら、勝負所のプレーさんの意見を特に強く否定するつもりはありませんが、昨日の試合だけで、「錦織選手のSET anb BREAK POINT でのメンタルが弱すぎる」と評価するのはいかがなものですかね~(特に、「弱すぎる」というところがね~)、と思っているだけです。

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  • @naka
    いわゆる錦織劇場も多く見るし、ブレークポイントで良いプレーが出来ていないことを松岡修造氏にも指摘されているとはいえ、全試合を見れば弱すぎるということは決してない。特に相手が格下の場合は自分には余裕と冷静さが、相手には焦りが生じるからね。
    それは自分も分かっているし、あくまで自分のコメントは「マレーらトップ選手との差は何か」という観点から書いたものである。
    ゆえに、そのようなトップ選手との試合でのチャンスやピンチでのプレーを今後見ていくと、自分が指摘した「差」がどれ程大きなものなのかや、その「差」が埋まっていくか否かを理解してもらえると思う。

    お判りとは思うが、ジョコビッチと錦織では技術・体力・メンタルのレベルに大きな差がある。仮にその差が埋まるとすれば話は別だが、今の錦織の実力で「チャンスに対する強さの値」が似通っていることは何の希望にもならないと見るべきだと思うが…
    安心するのではなく、必死になってどうにかして改善すべき問題であるはず。

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  • @HN
    格下相手の試合では力の差がある分、自分にはある程度の余裕が、相手には焦りが生じるもの。
    同格・格上との試合におけるチャンスの場面で自滅プレーや弱々しいミス待ちプレーを頻発することが問題であり、大きな「差」であり、錦織の目標を妨げる枷となっているのだ。彼の掲げる目標を考えると、格下相手のデータを含む「全体」を見て安心するのではなく、目標達成の壁となる、同格・格上相手の試合におけるチャンスorピンチでのプレーを重視すべき。同格・格上相手には良くあることだなんて言っていては、なにも成し遂げることは出来ないだろう。
    錦織はあなたのような楽観的で甘い考えではないはず。

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  • 僕今初めて試合見たんですけど、めちゃくちゃレベル高いですね。
    敗因はどう見てもドロップショットです。

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  • @R24さま
    ドンマイ Don’t mind は和製英語なんで、正確にはNever mind なんですけど圭くんには良く通じるでしょうね。ドンマイ!ドンマイ!でちょっと回りの人達の反応に興味あります。頑張れ!はきっと外国人の耳に定着してるんでは?

    個人的には全米などで聞かれた拍手と一緒の”Let’s Go Kei, let’s go!”のリズミカルなのが好き。三三七拍子で最後にGoKei!も新鮮でいいかも。周りのヨーロッパ人達をまきこんでの大声援みなさま宜しくお願いします!!

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  • nakaさん、

    素晴らしいデータをありがとうございました。
    ATPのサイトはほぼ毎日見るのですが、そこまで気づいていませんでした。

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  • どうも困ったものですね。
     誰もが圭くんとマレーの素晴らしい戦いを目の当たりに
      しているにもかかわらず、
       作文でシチュエーションを作り、持論を匿名に等しいHNで展開されるとは!

    事実は皆さん、どうご覧になりましたか
     1stセットタイブレーク6-3で3BPの場面。
    6-3 KS 1stを入れ、解説者も称賛する素晴らしいラリーの中で決定打のDTLがボール、半個それて
    6-4 KS 圭の3打目センター寄りがわずかに甘く、マレーのフォアが炸裂
    6-5 MS 大会のホットショットになった、素晴らしい攻防からのマレーのスーパーパス
    6-6 MS マレーのワイドへのスーパーサーブ 6-7へ
     この場面は、どう考えてもマレーのプレーを称賛する流れですね
      その後、圭くんがタイブレークを11-9 で制しました

    にも拘わらず、『負けて当然』とは・・・

    nakaさん、データ有難うございます。

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  • 錦織くんはメンタル弱いわけないけど、マレーとかジョコビッチはさらに上をいっているということでしょう・・・。
    そう考えるとランキングって機械的なようで、実はすごくうまくできているのかもしれません。

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  • @sato さん、同意です。

    錦織選手にとっての勝負どころは、マレーにとっては踏ん張りどころ。6-3から3本のSPを凌いだマレーの踏ん張りを称賛すべきです。3本の余裕があるみたいな甘っちょろい考えを世界ランク1位に抱いたとは、私にはとても思えません(-_-)

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  • すぅーさん、有難うございます。

     私も、色々な見方があって当然で、そうした見方から教えられることも
      多いのです。それを許容している懐の深い団長さんの下で、このサイトの
       魅力がとても高く貴重なものであると感じています。

     それだけに、やはり正確な事実に基づくことと、選手に対するリスペクトを
      きちんと基軸に置くことだけは、見失わないようにすることが大切だと、
       皆様と同様、思っております。

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  • o2アリーナの観客でマレーに対する応援についての錦織のコメントが大陸サイトで紹介されてました。
    以外、意訳です。
    フランスの下りは、敢えてやんわりと書いてます。
    http://sports.sina.cn/tennis/atp/2016-11-17/detail-ifxxwrwh4536714.d.html?from=wap

    全然、五月蝿くなかったよ。フランスだったら、もっと凄いことになってたと思う。
    ここの観客(態度)はとても良く、試合に集中出来た。自分のチーム以外の(観客の)声は、そんなに聞こえてないよ。

    やはりフランスの観客応援は、エゲツない様です。
    頑張れ、錦織!

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  • @sato
    あなたはテニスが分かっていないようだ。
    前のコメントにも書いたが、もし録画なさっているならば、錦織がモノにしたセットポイントでのプレーを見直すといいですよ。
    それまでの攻撃的プレーとは対極の、消極的ミス待ちプレーであったことは、きちんとテニスを観ている人間であれば、お判りになるはず。その変化を感じるはず。
    第2セット以降も、ブレークポイントを握った途端に、それまでの素晴らしいトップレベルのプレーから突然上述の弱気ミス待ちプレーに変わりました。
    それはマレーのようなトップ選手には何度も通用するものではない。しかし、錦織はそれを続けた。
    だから、今回のマレー戦は「負けて当然」なのですよ。

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  • 16,17日とひと通り現地観戦しました。
    マレー戦では、練習の時からピリピリ感が伝わり、絶対取るという意志が感じられました。
    既に戦士の表情でした。
    ゲーム内容はご存知の通りですので、観客の反応です。
    アウエーでの戦いなのにKeiへの応援が半数とは言えないですが、その位ありました。
    隣のご婦人は、小さい声ながら、『Kai、Kai』と夢中で応援していて、日本の旗を渡したら喜んで振ってくださりました。
    ただKeiだよと、訂正する事が気の毒で黙っていましたが…。

    帰りに返してきたのでどうぞと言ったら、大事にしますとお帰りになりました。
    外国人の『ガンバレKei』と発音が違う日本語応援が多かったのもビックリ。
    とにかくKeiの人気の高さを感じました。
    こんな、試合を見せてくれるのだから当然ですね。

    17日のレンドルGの試合では場内の案内係の方が、日本人の私達に『昨日は観たか、
    凄いなKeiは』と興奮しながら声をかけてくださいました。
    本当に負けが悔しいです。
    そしてレンドルG試合がみんな緩く感じました。
    改めて、こんな日本人選手を応援できる今に感謝したいです。

    Andyファンでもありますが、最初は複雑な思いですが、やはり途中からはKeiの熱い
    応援に変わっていく自分に、Keiへの愛を再認識しています。

    感動をありがとう‼️
    あと1日、決勝戦のチケットがあります。
    今日、明日は観ることができないですが、Andy、Keiの再戦が叶うことを願っています。
    Go Kei‼️

      引用  返信

  • ばあばさま
    一階で観戦されていたようですね。
    電飾Keiがばあばさんの作品だと知って納得しました。
    上からも良くみえていましたよ〜

    今、ばあばさんの観戦レポを読みました。
    私は上の方での観戦でしたが、びっくりする位Kei応援と拍手がありました。
    ほんとにアウエーでの試合だと感じられないほどでしたが…。
    場所によるんでしょうね。
    とにかく、今日も頑張って欲しいです。

      引用  返信

  • Andy: …It’s tough. Like you say, Kei does move the ball around extremely well, better than anyone maybe. So, yeah, it was physically tough. Thankfully I was getting quite a few free points on my own serve, which helped.

      引用  返信

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。