「強かったですね」と自画自賛するほどのプレーで29位トンプソンを圧倒(2024木下オープン2回戦)

2024 Tokyo
2nd Round
Kei Nishikori def. Jordan Thompson, 6-2,6-3

トンプソンは私のお気に入り選手の1人。
回転を自在に操るスライスサーブに、相手の打ち気を利用して取るバックハンドスライスからの展開。緩急で相手を揺さぶりネットプレーも織り交ぜる、総力で勝ちにくるテクニカル・テニス。

昨年のジャパンオープンでも上手さに唸ったものですが、この1年の活躍でランキングも29位まで上げてきて、ハードコートでは錦織の2勝0敗と言えども苦戦は免れないのでは・・・という予想が良い意味で裏切られました。

もう最初から最後まで攻めダルマでスーパーショットのオンパレード。攻め球を全くミスらずトンプソンからの仕掛けはほぼ皆無で、あっさりと1stセットを取りました。

2ndセットに入るとトンプソンがスライスを使って錦織の打ち気を利用しようとします。錦織は調子が良すぎたのか打ちすぎてしまい攻め球のミスで1ブレイクを許してしまいますが、基本的には誘いにも乗らず、ちょうど良いアグレッシブさで気持ちよさそうにポイントを重ねていきました。

錦織が前、トンプソンが後ろのポジショニングにすぐなってしまうので、錦織がよっぽどしくじらなければ錦織優位の状況は変わりそうになく、疲労が出たのか若干ミスが出る時間帯もありながらも、最後まで一気に攻めてトンプソンを圧勝しました。

本人が「180点」と記者会見で語り、オンコートインタビューでは「いやー強かったですね(自分が)」と自画自賛してしまうほどの出来。
記事にしてしまうとあんまり書くことがないくらいw なのですが、見ている方は本当にスカッとしたし、感動しました。ここまで戻してきてくれたのかって。

今日の試合内容なら全盛期並と言って良いでした。

気になるのはやはりフィジカルですね。故障のリスクと、体力の両方です。
決してフィジカルが100%に戻ったわけではない状態で試合に出続けており、時間をかけたフィジカルトレーニングは十分できていないのではと想像します。
34歳という年齢もあるかもしれません。第2セット中盤以降にどうしても動きが落ちる場面、精度が低くなる場面が来ます。
試合ごとに程度の差はありますし、動けなくなるほどの疲労ではなく、試合開始時点で自然に打てていたものが、スイングや球筋を調整しないと入らなくなったり、ディフェンスで1歩遅れてしまったりという程度のものです。
そして、うまく調節して対処はできています。
しかし、今後5試合を戦って優勝を目指したいと考える上では、現時点では体力は十分とは言えないでしょう。
これは本人も分かっていることだし、どうしようもない面もあります。当面は試合を多くこなしていくしかないですね。

そういう意味では、スロースターターの癖が今年は全く見られず、試合序盤からフィットしていることは非常に良いと思います。
無駄な体力消耗を避けることができますし、故障リスクも減らすことができます。
逆転の錦織もいいですが、やはりこの試合のようなスコアでの勝利を増やしていって、大会の上位ラウンド(SF以上)でもパフォーマンスが維持できるようにしていきたいところです。

トンプソンはラリーで後ろに陣取り仕掛けも少なく、らしくないプレーだなと思っていたらシングルスの試合後、ダブルスを体調不良で棄権してしまいました。錦織との試合にも影響があったかもしれません。体調不良の割には良いプレーだったと思います。が、いかんせんポジションが後ろすぎました。ラリーはできるけどポイントは取れないパターンだったように思います。トンプソンの立場になって考えると、期待値は高くなくとも、安定してラリーで不利になるヨリは何かとにかく先に仕掛けるパターンを試しても良かったかなと思います。
体調を良くしてからの再戦を期待します。

4 件のコメント

  • 団長、2本目のレビューうp、ありがとうございますm(_ _)m♥
    2本目はかなり早かったので、こちらも急いで見に来ました(;´∀`) お疲れのところ、ありがとうございます😊♥

    今日のルネとの試合を見てしまったので、トンプソン戦の記憶が遠くへかすんでしまいました、ごめんなさいm(_ _;)m
    確かに、「全盛期の圭がついに帰って来た❗️」と思わせてもらいましたm(_ _)m♥
    はい、「空いた口が塞がらない」ショットも、たくさん魅せてもらいましたm(_ _)m♥
    本当に、本当に、幸せでしたm(_ _)m♥
    しかし、圭が「No.5だと思っている」と認めている、強い強いルネ相手に、まさかまさかの展開で、すっかり毒気を抜かれてしまいました(^_^;)♥
    3本目のルネ戦のレビュー、楽しみにお待ちしていますm(_ _)m♥

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  • 海外出張前のまさかの長文渾身のレビュー記事、ありがとうございます。準備大変な中、体調崩されませんように。

    チリッチ戦、トンプソン戦の記事両方、臨場感とともに、うんうんと頷きながら読ませていただきました。

    『今日の試合内容なら全盛期並と言って良い』
    の一文を見て、次のルーネ戦での鍋島さんと修造さんのやりとりを思い出しました。

    第2セット、2ー1のゲーム間で、二人が錦織選手の活躍を振り返っている中、修造さんが「プレッシャーかけたくないですが、これだけいいテニスをしているだけにね、もう一つ…これから一つの新たなスタートとして見ていきたいですね。」と言うと、鍋島さんが

    「キャリアの中で、全盛期は何回あってもいいですからね。」

    この言葉に首を縦に振りまくりました。

    連戦に耐えうる体力もついてきて、良くなって来たサーブでより楽にサービスキープできれば、怪我のリスクも軽減し、熟練した新たなステージの錦織選手が見られるのではないかと期待してしまいます。
    何よりも本人のモチベーションがとても高いので、これからが楽しみです。

    上海、来週じゃなくて今週でしたね。
    リカバリーがうまくいって、無事に元気な身体でコートに立てますように。

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  • 錦織選手の参戦予定
    10/2日からの上海MSに本戦WC
    10/21日からのウィーン500でWCが貰える予定
    以下は予想_(._.)_
    10/28週:Bratislava125CH *パリMSからWCを貰える可能性は限りなくありません
    11/4週:Helsinki125CH or 11/3日に本戦開始の250大会のいずれか

    渡欧するからには、2,3大会は参戦するかと思います。
    国内CH大会への参戦が期待されますが、錦織選手の体調を考えますと、11/4週を休養、移動に充てて、11/11週の室内大会の神戸100CHへの参戦が有るか否かでしょうか?
    正直言って、この時期の日本の屋外コートでの参戦は難しいかと思います🙇‍♂️

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  • チリッチ戦、トンプソン戦、勝ててよかったです。
    特にトンプソン戦は本当に最初から最後まで攻めダルマ、打てば入る状態で、
    応援してて夢のような試合でした🌈
    ご指摘のようにその後のフィジカルも心配でしたが、ルーネ戦もいい試合ができ、
    今のところ大きな故障もなさそうだったので安心しています。
    本人の調子も良かったけど、会場の声援も大きな力になったんじゃないでしょうか。
    団長さまも勝利の男神様の一員だったんですね、ありがとうございました♪

    かといって全仏のように超絶アウェイでもなく、看板が降ってくるわけでもなく(ツォンガ戦)
    相手にもきちんと声援を送るいい観客、いい大会だと思います。
    負けは残念だったけど、次の試合までリラックスしてほしいですね。
    もう何度目かの故障→復帰ですが、その度にランクが上がっていく楽しみを味わえるので
    本当にこんな選手いないと思います。
    今回の復帰でも望み通り100位以内に復帰して、ディミトロフとかジョコビッチ、
    あと若手選手と戦ってください🙏

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。