短期間で体力リカバーして元気にプレー。悩みは「18位にどうやったら勝てるか」という高いレベルに移行(2024ウィーンウィーン1回戦ウィーン1回戦 vs. ドレイパー)

2024 Vienna (ATP 500)
1st Round
Jack Draper def. Kei Nishikori, 7-6(5),7-5

悔しいですが、悔しがる前に現状とこれまでの経緯を踏まえた冷静な評価を。

まず目標は大会に出続けること。これができていることが何より素晴らしいことか。エントリーした大会をスキップすることなく予定通り出場するサイクルが確立されてきていますね。

そしてテニスの内容も引き続き良いです。若く伸び盛りの18位を倒すまでのクオリティを出すことはできませんでしたが、大きく崩れることなく、パワーの差をテクニックと戦術で凌ぐプレーはATPの中でもユニークで他の選手から見ても学ぶものがあると思います。

錦織の試合の前にティームが最後の試合を戦いましたが、ティームより年上の錦織が、長い戦線離脱を経て35歳を間近に控えながらこれだけの輝きを放ち、まだまだこれから復活していくよというオーラを纏っていることは驚くべきことです。

18位のドレイパーがしっかり18位のプレーをしたのに、「どうやったら勝てるか、何が足りなかったか」、そんな高いレベルの疑問を投げかけている私。それだけ錦織が高いレベルのプレーをしているということだと思います。
テニスの内容に稼ぐポイントがついていけていないのがもどかしいですが(シードが取れないのは大きい)、このままのテニスを続けたらいつか結果が出ます。今はこのまま続けて試合に出続けることが引き続き大事です。

上海では疲れていましたが、ここウィーンでしっかり回復して試合できたように見えました。ここも大きな進歩で、これまでの経緯からは連戦の疲れからここはスキップする可能性も考えていました。
序盤からリターンのタイミングが合っており、早いタイミングで前に入っていくストロークがドレイパーのポジションを下げ、キープが安定。ドレイパーのダブルフォルトでブレイクし5−3としたまではほぼ完璧でした。

ここで力が入ったのか3球目ミスが出てブレイクを許したあたりから流れが変わり始め、ドレイパーのリターンが強く深くなっていったと思います。
錦織のサーブの威力とプレースメントが落ちてきたタイミングとも一致しました。
それでもトータルとしてドレイパーにしっかり対抗できており、スピンとスピードが両立したドレイパーのハードヒットに対しても返球が弱くなることなくタイブレークまで持ち込んだのですが、結局最後はドレイパーのフォアの振り切りにやられました。差はほんの僅かで、サーブ力の差を考えたらむしろ錦織のプレーの方が光っていたくらいです。

2ndセットはドレイパーがさらに調子を上げたと思います。サーブもストローク同様、回転がかかっていながらも速く、なんとかリターンを返しても構えたフォアハンドでほぼノーチャンスでした。

錦織の2ndセットのサービスゲームは、1stセットのように前に入ってガンガンに攻めるパターンは減りましたが、サーブが悪ければストロークのミスを減らし、ストロークをミスすればサーブを頑張るといった感じで上手くまとめてキープできたと思います。
悔やまれるのは第12ゲーム、30−0からサーブアンドボレーのミス、そして3球目ミスでしょうか。ただ、こういうミスを皆無にすることはできません。どうやってリカバーするかが大事ですが、このゲームはデュースワイドサーブを多用しすぎたのが選択ミスだったと思います。
センターフラットサーブの精度を上げる必要があると思います。

と、振り返ると全般的にお互いに力を出して実力通りのスコアだったかなと。少なくともパリ五輪の時のように手も足も出ず吹っ飛ばされるような展開ではありませんでしたし、パワーの差は想定内(ドレイパーはツアーの中でもかなりパワーのあるタイプ)。悲観的になる内容ではありません。ですが、やっぱりまとまった結果が欲しいですねえ・・・。本人は、あまり気にしてなくて内容にフォーカスしていると思いますが。

錦織は来週のブラティスラバCH(スロバキア)、その翌週のヘルシンキCHにエントリーしており、まだ年内100位の可能性があります。
とにかく試合に出続けること、今のテニスを続けることです。どのくらいまでランキングを戻せるか?についてはなんとも言えませんが、少なくとも100位ってことはなくてもっと上の力はあると思います。ディミトロフくらい復活してもおかしくないです。

そうなるとGSにもDAできるし、出場できる大会が増えてきます。また、コンスタントに1、2回勝つよりは1回戦負けがあっても時々ベスト4以上に行くような稼ぎ方の方がランキングが上がります。つまり、連戦となった時の体力や痛みとの戦いがこれからはより、重要になってくるわけで、これが錦織にとって最大の課題でしょう。

今日の敗戦はとても悔しいものでしたが、短期間でリカバーして元気にプレーできたのでこれからの楽しみも増えました。引き続き応援していきましょう。

4 件のコメント

  • 団長さん、早朝から有難うございます。もしかすると試合後寝てらっしゃらないのでは?お仕事に差し支えませんよう🙏

    序盤、錦織はドレイパーを左右に振り回しストロークでは圧倒的優位に立ってると思いました。ただ、ドレイパーもさすが18位、2ndセットは集中力を高めてプレーの質を上げてきました。
    残念な点は2つ。
    1stセットのブレイクバックされたゲーム。割と簡単に取られたのは緊張があったのでしょうか🤔
    それと団長さんも仰るように2ndセットのサーブ&ボレーのミスも痛かったです。
    それ以外は素晴らしいプレーをしていたと思います。怪我なく次も試合ができる状態で終われたと言うのも良かったです。

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  • 試合を見られていませんでしたので、朝祈るように結果を見ましたが残念でした。
    個人的にドレイパーは今回のトーナメントでも初戦に最も当たりたくない選手の一人でした。
    本人の試合内容も団長はじめいくつかの記事によれば悪くなかったようなので、それだけに初戦敗退は残念というかもったいない気持ちです。
    大富豪で1を出したのに2を出されて負けるような…(例えが下手くそw)

    BIG4がほぼいなくなりパワーテニスが主流になる流れは顕著になっていくのでしょうが、先週バウティスタが優勝しワウリンカもベスト4、ゴファンも復調とベテランがまだまだやれることは希望が湧いてきます。

    年明けになるかもですが、どこかの大会で決勝まで進んで連戦の体力とさらなる自信を身につけてくれることを祈念します。

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  • 団長さん、レビュー記事の迅速なアップありがとうございます。
    ツイキャスも楽しませていただきました。

    錦織選手、ストローク戦で切れ味鋭いフォアハンドや絶妙ボレーを見せてくれたのは嬉しいかぎりですが、あと一歩及ばず‥‥
    ドレイパー、第2セットは特に強かったですねー。
    チャンス来そうになるとビッグサーブや3球目攻撃でやられちゃう。悔しいし、うらやましい。
    でも、まだまだ、これからだ。
    団長さんおっしゃるように、今後も試合に出続けることで突破口を開くきっかけが生まれそうです。

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  • レビューありがとうございます😊ツイキャスも楽しかったです。
    第1セットのブレイクバックを許さなければ違った展開になったのでは?と思います。ドレイパー選手も序盤は面食らっていた様に見えました。惜しい!これが試合勘というものなのでしょうか?
    でも、ますます楽しみです♪両者とも素晴らしいゲームでした。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。