2025 Australian Open (Grand Slam)
2nd Round
Tommy Paul[12] def. Kei Nishikori, 6-7(3),6-0,6-3,6-1
全豪後のランキングで初のトップ10入りが有力視されているポールの前に、2ndセット以降は突き放されてしまいました。
1stセットは素晴らしいプレーが続き、2度のブレイク先行。そこから追いつかれたものの、タイブレークを制しました。しかしこのセットを取るために心身のエネルギーを消費してしまったのか、2ndセット序盤で集中が続かなくなったように見えました。そこを一気にポールに持っていかれ、結果としてポールにプレッシャーを感じさせずにプレーさせてしまうことになりました。
敗因はいくつか考えられますが、1回戦の4時間マッチの疲労が抜けきっていなかったことが第一に挙げられるでしょう。本人の言葉でご確認ください。
錦織圭、疲労が抜けきらず「負けたことより、まだ回復しないんだと、そっちの方がショック」 第1セット奪ったが逆転負け 全豪オープン – スポーツ報知
「意外と負けたことより、そっちの方がショック。まだ回復しないんだと」
「3セット目から低くなれなかったり、足が動かなかったり。2日間頑張って、リカバリーしたが、これが年なのか、やり方の問題なのか」
相当ショックを受けているようですが、昨年よりは体力は戻ってきているのは間違いなく、回復しきれていないのも私は想定内でした。もっと動けていない試合でも勝ったことはあります。ポールが攻守ともに良かったので、ポイントを取るために多く走らなければならず、体力を意識させられたのではないでしょうか。
2つ目の要因は風を含めたコートコンディションですかね。錦織は風のあるコンディションが得意な方ではありません。速いテンポで相手の力を利用するプレースタイルなので、タイミングが合わないとダメなんでしょうね。足を動かして同じ打点で打つタイプの選手、引き付けて自分のスイングで飛ばしていくタイプの選手と比べると、どうしてもパフォーマンスが落ちてしまう傾向があります。
ただ、条件としては相手も同じなので、苦手だとしてもそれこそ持ち味の引き出しの多さを使って工夫し、克服していかなければないポイントです。ポールも序盤は打ちづらそうにしていましたが、徐々にアジャストしてきました。
スピン系で繋ぐこともできる錦織ですから、センターをうまく使って相手にリスクを取らせる(センターから端を狙わせる)作戦と取ることもできるはずです。ただ、その作戦にはフットワークが必要となりますから、やはり最初の疲労の要因が関連してきます。今回の体のコンディションでは、それも難しかったのでしょう。ネットプレー交えた速い攻めを貫く必要がありました。
いずれにせよ今後もこのようなコンディションはあり得るので(特にインディアンウェルズとかで)、風を利用した戦術をなんとか取り入れていくしかないと思います。
上記のセンター狙い以外にも、例えば横風の時はスライスサーブをうまく使うとか。
ショットとしてはサーブとアプローチの威力とプレースメントに課題があったでしょうか。
練習で右手首、右肘などをマッサージしてもらっていたという現地情報がありました。サーブの速度やプレースメントを見るに、ちょっと肩や腕の調子が悪かったかもしれません。サーブのフリーポイントがなかなかもらえず、ストロークでの五分五分勝負になってしまったことは体と心のスタミナを奪っていったと思います。
アプローチはストレートが内側に入ったり、浅く入ることが多かったように思います。その結果、ポールはクロスに角度を付けたパスを打つことができ、それを錦織が腕を伸ばして触ろうとするような場面が多く見られました。時間にするとほんの一瞬ではありますが、ボールに手が届きませんでした。
試合の流れとしては2セット目の最初で離されなかったら、もしくは3rdセット3-4からのサービスゲーム(何回もデュースに)をなんとかキープできていたら、ポールにプレッシャーをかけられて、少なくとも互角の勝負に持ち込めたかなと思います。特に3rdセットの方は0-4から2ブレイク返した後でしたから。
錦織劇場の本質は、「相手を下げる。自分は上げる。」です。
力尽きたと思った相手に追い詰められ「こんなはずでは」と焦り、ミスが出る。そうなれば錦織は獲物に食らいついた虎。勝ち筋が見えた錦織は元気になります。今回はそこまで行かなかったですね。
まあ、毎回それをやるのは無理です。ポールのそこまで行かせなかった確かな実力を褒めるべきでしょう。
1stセットで2度ブレイク先行していながら追いつかれたあたりも地味に効きました。すんなり1stセットを取っておけば2ndセットまで勢いが持続して、これまた錦織沼にポールをはめることができた可能性があります。
と、いろいろ分析してみると、今回はスコアは離されましたが、錦織って上位選手にとってやはり非常に危険な存在だな、と。
今回のポールのようにしっかり突き放さないといけません。
ポールは気の抜けたようなポイントは皆無でしたし、少しでも甘い球が来ると必ず見逃さずにアタックしてきました。あそこまで徹底できる選手って多くはいません。もう少し、隙を見せてくれれば昨日の錦織のコンディションでも付け入るチャンスがあったんですけどね。
今は復帰後として初の経験がまだ多く、どこまで戻っているか、戻せるか本人にとっても未知数な部分があるのは仕方ありません。でも香港で5試合戦ってグランドスラムに出場し、フルセットやって次の試合で疲労はあったとはいえ、しっかり勝負はできたのは実は進歩しているんですよね。
昨年の全仏では同じく1回戦でディアロにフルセットで勝利したものの、2回戦のシェルトン戦では途中リタイアでした。
本人は「ショック」だったのは本人としても自分への期待が高まっているのではないでしょうか?まだ2025年は始まったばかり。トップ10級にちょっと負けたくらいで限界を感じる必要はありません。怪我がないのが何よりです。試合に出続ければ自ずと結果はついてくるでしょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/43854e7ca0bf28feb3e181e331942a42ff371592
錦織圭は4年ぶりの全豪オープンで、世界11位に「僕の打つボールが遅く感じた」とまで言わしめた
内田 暁 氏の記事です(`・ω・´)ゞ
下団引用 返信
下田さん、ありがとうございます。読んでいて目頭が熱くなりました。
のん引用 返信
団長さんの「風を利用した戦術をなんとか取り入れていく」という
考えにハッとさせられる思いでした。「それがあったか!」と。
その逆転の発想に
「錦織選手の潜在能力を侮ってはならない」という団長さんの
強い思いを感じました。
ポール戦は錦織選手が強風に弱いことを痛感させられたものの、
それは彼のプレースタイル上どうしようもないことだと
私は思っていました。
錦織選手の芸術的なプレーは天候状態の影響を受けるのを避けられないリスクを引き受けることでもあるのだと。
だから「強風でも影響を受けにくいプレーをしていては錦織選手の持ち味を活かせない」とさえ思っていました。
彼のプレースタイルを活かした上で、さらに風を味方につける方法もあることには考えが至らなかったのです。
(自分の頭が硬かったのか・・。)
今後もある強風のコンディションを思えば、ぜひとも風を味方につける方法(「従来の持ち味を活かしたままで」という条件付きですが)を模索して欲しいと願うばかりです。
>1stセットで2度ブレイク先行していながら追いつかれたあたりも地味に効きました。すんなり1stセットを取っておけば2ndセットまで勢いが持続して、これまた錦織沼にポールをはめることができた可能性があります。>
は仰るとおりですね。
これこそが試合運びの巧さ、という意味でここ数年試合慣れしているポール選手に分があったのかもしれません。
錦織選手は長いブランクがあってまだその辺の勝負勘が働かない日
があってもおかしくないかと。。
(疲労は身体面だけでなくおそらく脳疲労もあるので、ポール戦では勝負勘の働きが弱かったのかも・・。)
こうしたことは試合を重ねてゆけばきっと改善されてゆくと信じます。
リカバリーのさらなる研究、情報収集を陣営に期待します。
しっかりリカバリーできますように!
風引用 返信