炎天下の中、行ってきました準決勝。ご存じの通り、バブリンカ vs. マレーは今大会一番の名勝負。ナダル vs. ティームはただただ、ナダルの強さだけが目立つ試合となりました。
準決勝に先立ち、2番コートで行われたジュニア男子の準決勝を観戦。田島尚輝君が敗れたKuhnと、第1シードのKacmanovicの対戦でした。
二人とも同じウェアで最初、見分けが付きませんでしたが、帽子をかぶっている方がKacmanovicと認識。ベースライン間際での観戦は大迫力で、屋根がある座席だったこともあり打球音が凄い!! 二人とも体格良く、ジュニアの試合とは思えません。
田島君に勝ったクン君と第1シードのKecmanovicの試合。ジュニアとは思えないレベル!この距離だと大迫力です! pic.twitter.com/lsb2Cg4u6j
— netdash@鼻血ブログ (@netdash) 2017年6月9日
第1シードのKecmanovic。二人とも同じウェアなのでまぎわらしいが、彼は帽子をかぶっている。 pic.twitter.com/NCL3fttZlj
— netdash@鼻血ブログ (@netdash) 2017年6月9日
試合はパワーに勝るクン君(この表現お気に入り)がタイブレークでも攻めきり、大きな雄叫びとともにセット先取。1stサーブが1本入ったか入らなかったか、くらいの僅差のセットでした。Kacmanovicは軽快な動きのフォアの打ち分けが印象的でした。
2ndセットも拮抗して2−2の時点でマレー・バブリンカ戦に向けて席を立ちましたが、ファイナルセットタイブレークでクン君が勝利。彼はダブルスでも決勝進出しており、二冠を賭けて二つの決勝を戦います。
この選手にファイナル4−6と健闘した田島君は素晴らしいですね。
バブリンカ vs. マレー
序盤からバブリンカのパワーが炸裂し、押し気味に試合を進めますが、試合巧者のマレーが得意のディフェンスとドロップショットを混ぜた攻撃で対抗し、スコアは拮抗します。
バブリンカが先にブレイクしますが、ウィナーもあるがエラーもあるバブリンカのプレーにつけ込んだマレーがブレイクバック。タイブレークでも安定したプレーを見せセットを先取しました。
ここまでは錦織マレー戦と似たような展開だったと思います。
セットを取られたバブリンカに気落ちは見られず、2セット目もエラーを気にすることなくガンガン打ち続けます。このセットも先にブレイクして、マレーがまたディフェンス沼で嵌めそうな雰囲気はあったものの、取り切ります。2セット目ではありますが、体力に裏打ちされた確かな自信が感じられました。このセットを落としたら2セットダウンで、苦しくなってしまうのが分かっていながらプレーを変えず、しかも打ち切りました。調子も良かったのだと思うのですが、体のキレが落ちなかったので、ボールが入る感覚があったのだと思います。言い換えれば、「余裕」です。錦織は、この「余裕」がなかったと思います。
しかしマレーもぶれません。錦織戦に続き、ディフェンスを固め無駄なミスをしません。100%の調子ではないながらも、自分のできること、すべきことを見極め、その通りに実行する力はさすが世界No.1だと思いました。ボールを拾いまくり、まさに文字通り、ポイントも拾いまくりました。
特にスマッシュに対するコースの読みは神がかっていました。その後の処理も良く、バブリンカを翻弄していました。
バブリンカのフォアの逆クロスの打ち込みを読んでマレーがストレートにスライスでパス。これがバブリンカから最も遠いところに飛んだのでボレーのフットワークが横になってしまい、フォアボレーがネット。マレーがブレイクしてこのセットを7−5で取りました。
このボレーミス、すっごく気持ちが分かりました・・・。前に踏み込めないし、スライスだからボレーが下に飛んでしまうんですよね。安全に行ったら浮いてしまって、間違いなくマレーの逆襲くらいますし。
とにかくマレーの試合運び、ショットセレクションが上手いなあ、このままマレーが行ってしまうんじゃないか、と思ったのですが、そうは行かないのがこの試合でした・・・。
すでに、3セットで3時間超えの試合となっていました。気温は高くないものの日差しは強く、時折、太陽が雲に隠れて快適なひとときが訪れるものの、それは数分間しか続かず観戦するだけで体力を奪われました。プレーしていた2人にとってはなおさら厳しい日差しだったことでしょう。
第4セットも同様の展開が続き、タイブレークまで行くのですが・・・なんかバブリンカのプレーが全然落ちないんですよ。
落ちないどころか、この日は少々ミスが出ていた伝家宝刀のバックハンドがどんどん決まるようになってくるんですよ。
もう会場どよめきまくりです。明らかにバックの決め球だけ音も速さも全然違うんですよ・・・。
さらに、タイブレーク2−2で213km/hの最速サーブ。このタイブレークですでに2本ミスが出ていましたから、
「やっぱりバブリンカもこの場面ではナーバスになるのか。」
と思いましたが大きな誤解でした。むしろ一杯一杯だったのはマレーのようで、次のポイントを消極的なドロップショットのネットで落とし、4−2バブリンカリードに。その後もマレーにミスが出て、勝負はファイナルセットへ。マレーにしては珍しくミスが出たこのタイブレーク、土壇場で踏ん張れなかったことで勝負ありました。
ファイナルセットは一方的な展開に。バブリンカはバックだけでなくフォアも炸裂。疲れの出たマレーはサーブ、ストロークとも威力を落とし、必死に繋ぐもののバブリンカの勢いを止めることはできませんでした。
とにかくバブリンカのタフネスさが光った試合でした。マレーの粘りも見事でした。クレーシーズンの惨敗を見ていましたのでここまで戻してきたことは賞賛に値します。途中、マレーが勝つかと思いました。そこを逆転できたのは、あきれるほどのバブリンカの初志貫徹ぶりです。落としたら2セットダウンになる2ndセット、ちょっとでもミスしたら即、負けに繋がる第4セットのタイブレーク。この2つの場面でも全く、プレーが変わりませんでした。
じゃあ錦織もそうすれば? これは言うのは簡単です。粘りのプレーが身上なら、比較的実行は容易です。同じポイントを落とすのでも、長いラリーを作って粘って、その上で決められたら、「説明がつく」というものです。でも攻撃テニスは、貫いてミスを増やしてしまえば、「もったいない」だとか、「メンタルが弱い」だとか言われてしまいます。でも、同じポイントを落とすのなら同じ事だと、私は思います。違いは、守った方が相手に打たせる回数が増えるので、「何か」が起こりやすくなることです。でも上手く行かないことが明白なのであれば、守ってばかりでもダメ出し、攻めてばかりでもダメで、早めの戦略の修正が必要になると思います。
マレーは、(体力的にきつかったというのはあると思いますが)、粘りはありましたがそれに頼ってしまってバブリンカに気持ちよく打たせてしまったということも敗因の1つだったと思います。粘った上でもう少し攻撃に転じることができれば、バブリンカをもう少し考えさせることはできたかもしれません。でもそれをしなかったので、バブリンカ主導の試合になりました。バブリンカの心境を推測すると、
「粘ってくるけど、打ち込めない球ではない。少々のミスは気にせず、このまま打ち込んでいこう」
とシンプルにゲームプランを立てることができたのではないでしょうか。
非常に濃密で、多くの示唆を含んだ試合でした。
執筆が追いついていませんが、明日はナダル vs. ティームのレビューと、マレー戦(その3)を書きます。
そして決勝戦を見てそのレビューを書きます。
私としては、バブリンカのプレーは凄かったけど、ナダルが守りきると見ています。
守り切るどころか、ナダルのショットは攻撃力も増しており、全盛期並に戻したと言っていいと見ています。
ただ、スーパーバブリンカ2や3が出れば対抗できるかもしれません。
赤黄色さま
なるほどです。トニはテニスプレイヤーでもあったんですね、少しふにおちました。
そしてマネーの件もありがとうございます。才能を伸ばす為にトニはツアーを。
それはもう、もう1人の父親ですね。それが今期で解消…少しさみしい気がします、ナダルに影響は…ないでしょうかね。良い関係だからこれからも良きパートナーでいるでしょうね。
アカデミーで未来のナダルを育てるんかぁ。
んー、スペイン恐るべし🇪🇸
お手間かけましてありがとうございます。少しナダルを知る事が出来ました。
クイーン引用 返信
『……完全に痛みが消えたのはフレンチが始まったぐらいでしたね。
ずっと消えないのかなーっていう不安は常にあったので徐々に消えてくれた時は胸のつっかりが取れて安心しました。……反省点はたくさんありますがテニスに自信が戻ってきたのは感じてるのですごく収穫のあったフレンチでした。……』KEI NISHIKORI.COM http://blog.keinishikori.com/index.html より。
手首の痛みからはフレンチが始まったあたりで解放されたようで、良かったですね。
後半戦に期待しながら、応援いたします。
憧れのマエストロ引用 返信