クルム伊達公子の偉業:(ほぼ)39歳でのWTAツアー優勝 その2

その1の続きです。

本日はケイメヒコさんのランキング試算もアップされたので、そちらもぜひご覧ください。

クルム伊達公子の今大会の歩み

シングルスドローの下の方を見ていたければ分かるように、155位だったクルム伊達公子はLast Direct Acceptanceでした。

つまり、本戦ダイレクトインの中でランキングが最下位、まさにギリギリ本戦ダイレクトインだったわけです。

予選にはエントリーしていませんでしたから、あと1人上位選手がエントリーしていたら、今回の偉業はなかったわけです。

本当に良かったですね。

今大会のシード選手は以下の通りでした(ランキングはドロー作成時=9月14日付)。

  1. ハンチュコワ(21位) 準々決勝で対戦
  2. メディナ・ガリゲス(23位) 決勝で対戦
  3. スキアボーネ(24位)
  4. シルステア(29位)
  5. クレイバノワ(31位) 2回戦で対戦
  6. Pavlyuchenkova(41位)
  7. Dushevina(46位)
  8. バマー(47位)

トップ20位内の選手こそいませんが、20位台が4人います。そして第1,第2,第5シードと昨年優勝者(キリレンコ)をすべて破っての優勝ですから、文句のつけようがありません。

今大会の全試合の対戦相手とスコアは以下の通りでした(ランキングは対戦時=9月21日付)。

1回戦 vs 李(韓国) 564位 6-3, 6-4
2回戦 vs [5]クレイバノワ(ロシア) 30位 4-6, 7-6(4), 6-3
準々決勝 vs [1]ハンチュコワ(スロバキア) 21位 7-6(3), 4-6, 6-4
準決勝 vs キリレンコ(ロシア) 54位  3-6, 6-2, 6-4
決勝 vs メディナ=ガリゲス(スペイン) 23位 6-3, 6-3

1回戦は地元韓国のワイルドカード選手。564位というランキングが示すように順当勝ちと言えるでしょう。ウォズニアッキ、リシツキ、カネピ、メディナ=ガリゲス、シルステアといった強い選手とばかり当たってきた過去の大会と比べるとラッキーな相手だったと言えるでしょう。届きそうで届かなかったWTAツアー初勝利をあっさりと手中にすることができました。

2回戦は4-6, 2-5と絶体絶命のピンチから大逆転勝利。マッチポイントも握られました。

準々決勝も第1シードのハンチュコワに序盤からリードされる展開も、追いついて第1セットを先取しましたが第2セットは終盤で突き放され、ファイナルセットも4-4でハンチュコワに何度かチャンスが訪れました。そこで一歩もひるまなかった様子が、WTAのブログ当番だったハンチュコワの記事から伺うことができます。

Friday, September 25, 2009

Hello one last time from Seoul…

Unfortunately, I lost to Kimiko today. It was a very long and up-and-down match. I had chances, but all the credit to Kimiko, she was playing unbelievably. I thought she would get tired, because she hasn’t been back for long and because of her age, but she didn’t. She was going for her shots, hitting them flat and hard, and it was very tough for me to do anything. She never backed down. I had a few chances at 4-all in the third, but she was fighting so hard for every point. It just didn’t work for me. I knew I had a tough match coming, but I didn’t think she’d play this well! She had been away from the game for so long and I thought she’d make more mistakes, but she played a perfect match.

(WTAの週替わりブログ “Daniela’s Seoul Blog“ より)

内容

  • アップダウンのあった長い試合だった。
  • チャンスはあったが、公子が信じられないプレーをした。
  • 彼女はブランクも長いし、年齢のこともあるので疲れるだろうと思っていたが、そうならなかった。
  • 彼女はフラットにハードヒットしてきた。決して後に退かなかった。
  • ファイナルセット4-4でチャンスがあったが、彼女は全ポイントで激しく向かってきた。
  • 彼女がこんなに良いプレーをするとは思わなかった。
  • もっとミスしてくれると思ったが、彼女は完璧な試合をした。

と、大絶賛でした。

準決勝は昨年優勝者のキリレンコと対戦。

ハンチュコワ、キリレンコと私のお気に入りNo.1、No.2プレイヤーとの連続対戦は心苦しいものがありましたが、今回ばかりはさすがに伊達さんを応援しました。え?おまえの趣味はどうでもいい?失礼しました・・・。

1stセットを3-6で落とし、「さすがに疲れがあるのかな?」「昨年優勝してるし、キリレンコは今大会と相性がいいのかも」と見ていて弱気な気分になってしまいましたが、第2セットから試合の流れが変わりました。

まるで錦織劇場を見ているかのように、あっという間の逆転劇でファイナルセット5-0まで進みます。これはもう勝ったな!と思ったところから4ゲーム連取されて5-4になったときはヒヤヒヤしましたが、最後を締めて決勝進出!「錦織圭実況掲示板」でライブスコア観戦をしていた皆さんと喜びを分かち合いました。

伊達さんのブログによると、キリレンコが0-5から開き直ったようにハードヒットしてきて、それが全て入ってきたそうです。キリレンコも素晴らしいファイトでした。

決勝は前週の広州の1回戦で対戦し、フルセットで惜敗したメディナ=ガリゲスが対戦相手。しかし同じ相手に連続で負けるわけにはいかないとばかりに今回はストレートでの勝利となりました。

自信がないまま韓国に到着していた」というメディナ=ガリゲスと、久しぶりの優勝に向けてやる気満々(推測)だった公子姐さんとの違いが出た、という印象があります。このあたりが昔取った杵柄というか経験というか、元トップ10選手のすごさというか、本当に伊達さんの勝負強さにはいつも驚かされます。

(長くなりましたのでその3に続きます)

9 件のコメント

  • 東レ、ウォズニアク戦をGAORAで見ていますが、伊達さん、ファーストセット先取しました!
    やや疲れを感じているように見えますが、素晴らしいプレーをしています。

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  • ライブスコアしか見ていませんが
    今日もパワー全開ですね。

    疲れているでしょうに。
    ここ1番で力を出せる勝負強さがありますね。

      引用  返信

  • 伊達さんのブログを読むと、ピンチにたったときの
    メンタルの持ち方を(気持ちの切換えを)
    まるでテニスの教科書にあるがごとくきっちりやっているのが
    解りました。
    それは勝ちにこだわる強い気持ちの裏返しですよね。
    他者(観戦者)から見た試合のリポートと
    伊達さん自身の試合分析を読み比べるととても面白いです。
    松岡さんが言っていた通り
    伊達さんのテニスはいまのトップの女子テニス選手たちに
    充分通用する。
    ということが証明されました。
    エナンも復帰し、女子テニスも私の興味の対象に
    充分に入って来ていますー。

    その3も楽しみにしています。

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  • 「やるべき事をやる。」
    伊達さんがずっと言われてる言葉です。
    自分のやるべき事が何なのか分かってないとできないし、それを実行し、自分を追い込んでいく姿を見て、ひたすら感動しています。

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  • 昨日の試合、録画で見ました!
    すごく見ごたえありました!!
    伊達さんのブログを読み、
    試合を観て、
    怠け者の自分を叱咤激励
    しております(^_^;)

      引用  返信

  • >mimiさん
    ありがとう!!!
    伊達さん、韓国での疲れがなければ、東レも完全に勝っていたと
    思いますよね~。
    PP0も少しあてが外れちゃったかな^^;

      引用  返信

  • mimiさん、ありがとうございます。
    早速、録画予約しました。
    WOWOWさん対応早いですね。
    楽しみです。

      引用  返信

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。