40位コボリをラリーで支配しての勝利は50位復帰に向けた手応え大（2025フェニックスチャレンジャー準々決勝）

2025 Phoenix Challenger (Challenger 175)
Quarterfinal
Kei Nishikori def. Flavio Cobolli[2], 6-2,4-6,6-4

20位以内の選手には分が悪いが50位以下の選手には割と勝つ、そんな成績が続いていたのでコボリの40位というランキングはちょうど今の錦織の実力を測るにはちょうどよいランキングでした。
そんな相手にアップダウンはありながらも全体として試合を支配するのですから、錦織の実力は落ちていません
このまま怪我なく進めば目標の50位以内はいずれ達成可能に思えます。

1stセットは早々にリターンをアジャストしてフォアでも攻めて1ブレイクアップ。
5-2での雨中断後、体が冷えたのか3球目ミスがありましたがキープして6-2。
しかしコボリのサーブの調子が上がってきており、油断できない状況。

1stセットの1stサーブポイント率は60％と2ndサーブの66%より低く、6回迎えたブレイクポイントを凌いだことによって6-2というよいスコアにはなっていましたが、ウィナーとミスのバランスが少し崩れれば危ない状況に思えました。

2ndセットではコボリのサービスゲームが安定し、錦織のリターンは相変わらず良かったものの、ブレイクできず。
錦織も、下がって守るコボリに対し焦らず攻めてよくキープしていたのですが、第10ゲームではミスが出てしまい、セットを落とします。
ずっと優勢に試合を進めていながら、たった1ゲーム失敗しただけで振り出しに戻ってしまうのがテニスの怖いところ。
コボリは何か特別な作戦を練ってきたというわけではなく、とにかく声を出してしつこくしつこく、走って走って返してくることに専念していました。その割り切りが迷いをなくし、功を奏しました。錦織は逆に、その気迫を感じて考えてしまったかもしれません。

ところがさすがファイナルセットの鬼、切り替えてあっという間に4-0に。コボリのプレーが落ちたわけではなく、錦織の攻めの精度が復活しました。
しかしここで終わらないのがさすが40位で、開き直りのサーブでキープすると再び錦織がミスして5-3に。
5-4からの錦織のサーブは、取られたらまたもや優勢に進めながらも振り出しに戻るということで非常に緊張したのですが（錦織は緊張していなかったかも）、神がかったオンラインのバックDTLで4度目のMPを握ると、今度はしっかり決めてくれました。

この試合の1つのポイントになったのがバックDTLのリターンで、コボリが多用したアドワイドスピンサーブに対し、錦織がこのショットで何回もポイントを取っていたのですが、セカンド4-4のBPでは読まれて逆襲されたのです（ショットは良かった）。

このポイントを取っていればストレート勝利できていたかもしれません。よく決まっていたショットを使った錦織の選択が間違っていたわけではありませんが、ここで逆を行ければもっと良かったかも。でも、このポイントだけで試合は決まりませんから読んだコボリを褒めましょうかね。

このショットはファイナルセットでもよく決まっていました。

ファイナルセットに行ってしまったのは明日以降に向けて不安要素ではありますが、40位を内容で圧倒したってことは、また完全復活に近づいた印象です。
これがチャレンジャーであることが残念。500や1000でこのパフォーマンスを出すことが次のチャレンジですかね。

SFはフォンセカとガストンの勝者。18歳の新星フォンセカとの対戦となると非常に楽しみです。フォンセカは昨年のNextGenファイナル優勝、今年2月にはアルゼンチン・オープンでツアー初優勝。まあそのうちトップ10には入る逸材でしょう。先生、本格化する前にベテランの技でやっつけちゃってください！