以下フォーラム「目指せ全仏・第4シード以内」に投稿した研究を記録のために再投稿します。あちこち記事をばら撒いてすみません。
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週末を利用して「錦織選手は本当にシード運が悪いのか?」について調べてみました。結論は、「それほどでもない」です。結果をこちらにアップロードしています。
解析したのは2010年以降のGSのシード順位です。GSでは32シード群は、以下のようになります。対称性を保つため、下の2行は左右反転しています。たとえば錦織選手が第5シードだった場合、R3で第25−32シード群、R4で9−12シード群(または第17−24シード群)、QFで第1−4シード群と対戦します。
GSでの32シードのドロー配置
1 25 17 13 9 18 26 5
3 27 19 14 10 20 28 6
4 29 21 15 11 22 30 7
2 31 23 16 12 24 32 8
1)1−4位との対戦
最初の図は2010年からのGSのシード順位のまとめです。赤印は錦織選手のシード順位ですが、今更ながら急激なシード順位上昇が分かります。特に2015年の全豪以降は、ほぼ5位前後のシードを維持しており、トップ5と言って差し支えないと思います。2015年のUSオープンは第4シードで、唯一第4シード以内を実現しています(2017年全仏で2回目のGS第4シードを目指しています)。
青色はQFのベスト対戦相手のシード順位です。時々R4で第1シードと当たっているのが分かります。2015年以降、錦織選手が第5−8シード群だったときにQFで第1シードと当たるドローになったのは3/8の割合(期待値は1/4です)。緑色はSFのベスト対戦相手のシード順位です。ここでも時々第1シードをときどき引き当てています(錦織選手が第5−8シード群のばあい確率は1/2なのでそんなに悪いわけではない)。橙色はFの対戦相手のシードです。
2)R4シード山
R4シード山のドローがどれくらいラッキーなのかを測るために、単に自分以外の3選手のシード順を合計することにします。R3で対戦する第25−32シード群、R4の第9−12シード群または第13−16シード群、およびそのR3対戦相手第17−24シード群です。たとへばこの前の全豪では以下のようになってました。錦織選手は第5シードでしたが、10位ベルディヒ、17位フェデラー(!)、26位ラモスービノラスでした。なのでR3+R4山のシード合計は、53です。期待値は、錦織選手が第5−8シード群の場合は、28.5+10.5+20.5=59.5です。なので全豪はかなり引きが悪かった(フェデラーも!)ということになります。
2017年全豪の32シードのドロー
1 31 19 16 10 17 26 5
4 29 22 14 12 23 27 7
3 25 21 13 9 24 32 6
2 30 18 15 11 20 28 8
2ページ目の図が、2010年からのGSのまとめです。大会別に色分けをしています。2010年全豪と2012年全仏は欠場です。錦織選手が第5−8シード群だった2015年以降のR3+R4山のシード合計平均値は57.0です(第4シードだった2015年全米はカウントしてません)。なので期待値59.5よりも少し悪く、平均で2.5ランク強い選手と当たっていることになります(R3+R4の合計)。期待値を上回ったのは2015年以降3回だけですが、図をみていだければ分かるようにF1回、SF1回、QF3回の好成績を残しているので、R4シード山の引きはあまり関係ないとも言えると思います。錦織選手が第5−8シード群だった2015年以降のR4での第9−12群との当たり具合は、平均9.75シードで期待値10.5より1シード近く悪いです。
以上をまとめると、総じて錦織選手の近年のGSドローは期待値(平均値)よりも少し悪いが、ドローが少々悪くても非常な好成績を残している。ドローについては、中心極限定理(central limit theorem)により、いずれ平均値は期待値に収束していくはずなので心配るすことはない、です。
以上です。
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