以前、マレーの説明をしたら好評だったのでもう少し詳しい解説をしようと思います。
基本的にマレーはそれほどトップ選手にしては身体能力は高くないのですが、こうすれば、ボールは拾えるということを理解しているので、球際に強いです
また、その特性を理解しているので、条件さえそろえばどんなことをしてもうまいことコートにだいたい入るということもわかっているので、後はどうフェイントをかけるか?ということだけです
マレーは身体は固いですが、頭と心は非常に柔らかいです
心が固くなる時はどんなときか?
それは焦ったり、恐怖心があるときです
心が固くなると、体をひねったり、曲げたり、膝を曲げたり、身体の正面を隠したりしがちです。
ですが日本の指導者(世界もそうかもしれませんが)は、大事な時は大事にうて!とか膝を曲げろとかしっかり構えろ!とか言います。これが良くないんです
柔軟性を失い、変化に弱いプレーの元になります
こういう反応が起きないような動きをすれば相手に最後まで読まれにくいショットになります。
マレーはだいたいの時に身体が開いて変化にいくらでも対応できる形になっています
変化とはエネルギーともいえます。変化を失ったプレーはエネルギーがない。周りから見ても力強さがない。しっかり構えて打てという教えは力強さを失わせるのです。
先程の条件がそろえばボールを拾えるという話ですが
運動正面という話ですが、身体の正面は180度広がっていますよね?
ですが野球の桑田さんの話で「守備は正面でとらなきゃいけないけど、これも正面だ」と言ってました
https://www.youtube.com/watch?v=5zlqi2XQfeY
それを聞いて、最初違和感がありました。正面というと、スペインの闘牛のように牛の突進を受け止める印象があったので、横から飛んできたものが正面??って思ったのですが、実際なんかわかる気がしました。
結論から言えば、目の前に見える視覚認識の部分と、実際「ボールなどの対象物に対して身体でわかって運動のアプローチができる部分」とは違うということがわかりました。
野球のバッターでもタイミングが速いとファールになりますよね?
でもそれは実は運動正面でとらえてないないからだという結論です
投手→ 球 捕
打
このタイミングが運動正面でボールが認識できている。ので、テニスでも同様です
マレーなんかはフォームが汚くてもここでとらえようとだけ意識しています。
ほとんどの指導はフォームをきれいに、固めて打とうと教えますよね?
マレーはラリーのリズムでタイミングが速ければ腕をゆっくりさせたりして、運動正面まで呼び込んで打ちます。
ここで打てばランニングカウンターショットだろうが、ドロップショットだろうが、ロブだろうが、ボレーだろうがコントロールできるということです。しかもかなりの確率で入る。観なくても入るかもしれません
なのでそこでいろんな余裕が生まれ、プレーに幅ができます
恐らく練習でもそれだけを意識しているでしょう。いろんな局面に合わせてどうやったら不利な状況でも逆転できるかをシュミレーションしながら練習しているに違いありません。
それからマレーはボールをとらえる位置とタイミングを意識しているので、そこから始まってショットに派生します
多くの選手は、こんなショットを打とう。力強いショット、スピンかけたショット、深いショット。
力強いショット
or
スピンかけたショット
or
深いショット
そのくらいしか考えてないですが、
マレーの場合はこうです
→→→ドロップショット
↗
打つポイント→→→→→深いショット
↘
→→→浅いショット
↑
状況によっていい感じで打てるショットが自分で分かる
↓
→→→ロブ
↗
打つポイント→→→→→スライスのロブ
↘
→→→フェイクショット
マレーとそれ以外の違いが分かるでしょうか?マレーの場合は打つポイントだけを探っているので、無意識にどういう変化ができるか(どういうショットが打てるか)感覚でわかります。
普通の選手はまずいいショットを打とう、それからコートにちゃんと入れようそこを考えているので、ランダムな状況でいろんな選択肢をもちながらプレーはできません
マレーは相手からしたら3人ぐらいの相手と戦っている感じでしょうね
人は基本的に一つのことしか意識してプレーできません
なので身体から、今これが打ちやすいよというメッセージを受け取りながらプレーしないと、最初っからこういうプレーをしようとフォーカスしてやった場合、派生した後のものでもう変化できないので必ず単調になります
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